「乳がんの検診はいつから始めたらいいんだろう」「若い人でも乳がんになるってほんとだろうか」
そう疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
アナウンサーの小林麻央さんが乳がんを患ったことで、若い方でも乳がんを知るきっかけになりました。
実は、乳がんの検診は早期発見の鍵を握っています。適切なタイミングで始めれば、命を守るチャンスを広げられます。
本記事では、乳がん検診を受ける適切なタイミング、乳がん検診の内容や費用の詳細などについて詳しく解説します。乳がんリスクを減少させるための第一歩として、ぜひ参考にしてください。
乳がん検診を受けるタイミングはいつから?
乳がん検診はがんの早期発見し、健康寿命を伸ばすためにも重要な対策の一つです。
現在、日本では2人に一人ががんにかかり、3人に一人ががんが原因で死亡しています。乳がん検診を受ける適切なタイミングはいつからかを解説します。
乳がん検診は40歳から
一般的に乳がん検診が必要とされるのは40歳以上です。厚生労働省によると、とくに40歳以上69歳以下の方に乳がん検診は推奨されています。
厚生労働省で推奨されているがん検診はすべて、がんによる死亡率が減少する効果が科学的に証明されています。
乳がん検診を40歳未満の方が受診する場合、がんの早期発見メリットよりマンモグラフィによる放射線被ばくや、偽陽性による過剰検査などのデメリットの方が高いと考えられているのです。
厚生労働省によるがん検診の推奨年齢は下記のとおりです。
<がん検診>
種類 | 検査項目 | 対象者 |
---|---|---|
乳がん検診 | 乳房X線(マンモグラフィ) | 40歳以上 |
胃がん検診 | 胃X線検査、胃内視鏡検査 | 50歳以上 |
子宮頸がん検診 | 子宮頚部の細胞診および内診 | 20歳以上 |
肺がん健診 | 胸部X線、喀痰細胞診 | 40歳以上 |
大腸がん検診 | 便潜血検査 | 40歳以上 |
親族に乳がんの罹患者がいる場合は20代から
しかし、親族に乳がんの罹患者がいる場合は、20代・30代でも乳がん検診を考えた方がいいかもしれません。
遺伝性乳がんは乳がん全体の5〜10%と言われており、親、子、姉妹の中に乳がん患者がいる場合、いない場合に比べて2倍以上乳がんになりやすいことがわかっています。
また、20代・30代の世代(AYA世代)のがんは高齢者のがんと比べて進行が早く、発見が遅れるとその後の治療成績に影響を及ぼすことが多々あります。
もし、親族に乳がんに罹った方がいる場合や、遺伝性乳がんに対して不安がある場合は医師や医療機関に相談してみてみましょう。
クリニックの検診と共にブレスト・アウェアネスを実施
厚生労働省では、乳がん検診の推奨年齢より若い世代に向けて、ブレスト・アウェアネスの重要性を報告しています。
ブレスト・アウェアネスとは「乳房を意識する生活習慣」のことで、自身の乳房の変化に自身で気づくための習慣です。習慣的に自身の乳房の状態を確認する習慣を身につけるとともに、注意すべき乳房の変化を女性一人一人が知ることで、乳がんの早期発見を促しています。
ブレスト・アウェアネスは、現在の乳がん検診の問題点でもある若年性乳がんや、高濃度乳房に対する乳がんの偽陰性などを解決する具体的な国の対応策の一つです。
20代・30代の乳がん対策として、ブレスト・アウェアネスを身につけるとともに、定期的なクリニックの受診で対応してみるといいかもしれません。
乳がん検診の内容
現在、乳がんの死亡率を減少させることが科学的に認められ、乳がん検診として推奨できる検診方法はマンモグラフィ(乳房X線検査)のみです。
過去には視診・触診などが行われてきましたが、現在では視触診は推奨とされておらず、実施する場合でもマンモグラフィとあわせておこなわれます。
ただし、マンモグラフィには乳腺の濃度の影響を受けやすい問題があり、とくに40代未満の若い世代の検診で偽陰性の可能性があります。そのため、近年ではマンモグラフィに加えて乳房超音波(エコー)検査もおこなわれることがあります。
実施する検査に関しては医療機関ごとに異なるので、くわしくは受診する医療機関に尋ねてみましょう。それでは各検査について詳しく見てみましょう。
マンモグラフィ
マンモグラフィは乳房X線検査のことで、乳房を板で圧迫し薄く伸ばした状態で撮影します。
がんや腫瘍などの病変がある場合には、画像上で影や白い粒となって現れます。触診ではわからない小さいがんでも発見でき、優れたスクリーニング検査方法の一つです。
ただし、乳腺組織の濃度に影響される点や、X線検査のため微量の放射線被ばくがありますが、マンモグラフィによる放射線被ばくの健康影響は少ないとされています。
乳房超音波(エコー)検査
乳房超音波(エコー)検査は、乳房に超音波をあてることで異常の有無を検査します。放射線を使わないため、マンモグラフィと違い妊婦さんでも安心して検査を受けられます。
最近の研究では、マンモグラフィとエコー検査をあわせておこなえば、がんの発見率が、マンモグラフィのみの場合よりも1.5倍高くなる結果も出ています。
ただし、エコー検査はマンモグラフィと比べて検査者の手技が検査結果に影響を及ぼす検査です。そのため、厚生労働省ではエコー検査単独での乳がん検診は推奨されていませんので注意しましょう。
乳がん検診の費用
乳がん検診の費用は、受診方法により変化します。一般に乳がん検診を受診する方法は大きく分けて4つあります。
<乳がん検診の費用>
受診方法 | 費用 |
---|---|
職場検診 | 無料、もしくは1,000円程度 |
自治体 | 500円〜2,500円程度 |
保険診療 | 2500円~5,000円程度 |
全額自己負担 | 15,000円程度 |
乳がん検診を検討している場合は、まずは自身がどの検診を受けることが可能なのか把握しましょう。
職場検診で受診する場合
会社で加入している健康組合の職場検診の場合、費用は無料、もしくは1,000円程度の自己負担が一般的です。
しかし、上記は40歳以上の女性のみの金額であり、40歳未満の方が乳がん検診を希望する場合、後述する全額自己負担として追加料金が発生することが多いです。
くわしい費用については、各職場の健康組合や契約している医療機関によるので、職場に確認しましょう。
自治体で受診する場合
自治体を通して乳がん検診を受診する場合は、500〜2,500円程度が一般的な費用です。各自治体ごとに若干の差があるので、正確な費用についてはお住まいの地域の自治体に問いあわせてみましょう。
自治体で行われるがん検診は対策型検診とも呼ばれ、がんの死亡率を下げることを目的とした公共政策の一つとしておこなわれます。
そのため、対象者は厚生労働省で推奨されている年齢である40歳以上です。また、対応期間も各自治体によって差があるので、事前に確認しましょう。
保険診療で受診する場合
保険診療で受診する場合は乳がん検査にかかる約15,000円の3割負担である2,500〜5,000円程度が目安の費用となります。
基本的に、乳房に何か異変が発生し、医師が乳がんの疑いをもって検査が必要と判断した場合に該当します。
全額自己負担で受診する場合
全額自己負担で受ける場合の費用の目安は、15,000円程度となります。全額自己負担になる方は、自覚症状はないが自身の判断で乳がんの検査をおこないたい方です。
人間ドックや、乳がんの検査をおこなっているクリニックなどを受診して自費でおこなう必要があります。もし、乳がんの不安がある方は、医師に相談したうえで乳がんの検査を受けるか考えてみましょう。
乳がん検診のメリット
乳がん検診のメリットは大きく分けて2つあります。
- 乳がんによる死亡率を下げられる
- 乳がんの不安を解消できる
それぞれを詳しく解説します。
乳がんによる死亡率を下げられる
乳がん検診である乳房X線検査(マンモグラフィ)は、科学的に乳がんによる死亡率の減少効果があると証明されています。また、乳がんは早期発見により治療効果が大きく期待されるがんでもあります。
乳がんの5年相対生存率(がんと診断され方のうち5年後に生存している方の割合)は、発見が早ければ早いほど高く、ステージⅡまでの発見により、95%以上の5年相対生存率が見込めます。
乳がん検診は正しい方法と適切なタイミングでおこなえば、乳がんの早期発見に有効な手段でもあるのです。
乳がんの不安を解消できる
乳がん検診は乳がんに罹患していないことを確実に証明するものではありません。しかし、乳がん検診を受診すれば、乳がんに対する不安を解消できます。
厚生労働省により推奨されている乳がん検診受診時期は、40歳以上から2年ごとに1回です。
適切なタイミングでの乳がん検診は、乳がんによる死亡率の低下に有効であり、実際に検診で乳がんの早期発見につながっている方もいます。
また推奨はされていませんが、20代・30代の乳がん検診非対象者でも、遺伝性乳がんなどの不安が大きい方は、クリニックを受診して自身の不安を和らげられます。
乳がん検診のデメリット
乳がん検診にはデメリットも発生します。
厚生労働省で推奨されているがん検診はすべて、がん検診を受診するメリットがデメリットを上回るように、対象者や受診時期が設定されています。
自身の判断で厚生労働省で推奨されているがん検診以外を受診する場合にはとくに注意が必要です。乳がん検診で発生するデメリットは大きく2つあります。
- 偽陽性による追加検診の時間がかかる
- 微量の放射線被ばくをする
偽陽性による追加検診の時間がかかる
乳がん検診に限りませんが、検査にはすべて偽陽性(本当は陰性なのに、なにか異常があるような検査結果がでること)の可能性があります。その場合、「精密検査の必要あり」として検診結果が返されるので、不必要な検査や治療を受けることになります。
マンモグラフィや、乳がん検査の一つである針生検は少なからず痛みを伴う検査です。また、検査費用も追加で発生し健康な方にとってはデメリットとなります。
がん検診のようなスクリーニング検査は、がんの疑いの有無を高い感度で発見する検査で、一定の割合で偽陽性が発生します。
微量の放射線被ばくをする
乳がん検診で行われる乳房X線検査(マンモグラフィ)は、放射線を原理とした検査のため、ごく微量ですが放射線被ばくを受けます。
ただし、1回の撮影で乳房が受ける放射線量は、0.05〜0.15ミリシーベルトと低く、一般の方が1年間に受ける自然放射線量(約2.4ミリシーベルト)と比べても、健康被害はないとされています。
乳がん検診に関するよくある質問
乳がん検診を受診する適切な時期について解説していきましたが、ほかにも乳がん検診に関する疑問は多くあるでしょう。
ここでは乳がん検診に関するよくある質問をまとめてみましたのでぜひ参考にしてください。
- 乳がん検診を受ける頻度は?
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厚生労働省で推奨されている受診間隔は、2年に一度です。
一般的に乳がんが1cmのしこりになるまでには、数年以上かかると考えられており、2年に一度の受診で問題ないとされています。
ただし、なかには急速に大きくなるような腫瘍も存在するため、もし自覚症状がある場合は医療機関の受診をおすすめします。
- 乳がんにかかる方は何歳が多いですか?
-
乳がんの罹患年齢は、40歳後半から50歳にかけて高くなります。
また、乳がんは女性のがんのなかでも罹患数が最も多いがんでもあります。
近年では30代から乳がんの罹患率は上昇傾向にあるため、普段から自身の乳房の異変に気づけるように意識しましょう。
- 乳がんになったら痛む身体の部分は?
-
乳がんにより痛みを感じることはほぼありません。ごく稀に乳房への痛みを感じる場合もありますが、ほかの疾患が痛みの原因になることが多いです。
乳がんは外見でもわかるほどしこりが大きくなっている場合でも、痛みを感じないケースはめずらしくありません。
マイクロCTC検査で全身のがんリスクをチェック
近年、がんのリスクをチェックできるマイクロCTC検査が注目されています。
とくに悪性度の高いがんの検出が可能で、次のような特徴もあります。
- 乳がんを含めた全身のがんリスクがわかる
- 1回5分の採血でスピーディーに検査可能
- 特異度94..45%の高精度
それぞれの特徴について解説するため、乳がんを含むがんを早期に発見したい方は、ぜひチェックしてみてください。
乳がんを含めた全身のがんリスクがわかる
マイクロCTC検査は、乳がんを含む全身のがんリスクを評価する画期的な方法です。
血液中に漏れ出た悪性度の高い「間葉系がん細胞」のみを捕捉し、どの部位から来ているのかや個数など、がんのリスクを明確化します。
この検査により、乳がんをはじめとするさまざまながんの早期発見が可能になり、治療の選択肢や予防策を具体的に考える手助けをしてくれます。
乳がんは日本女性の多くが罹患しますが、そのほかのがんについても軽視できません。
マイクロCTC検査を受ければ、乳がんを含む全身がんに備えられるため、いつまでも健康でいたい方も安心できるでしょう。
1回5分の採血でスピーディーに検査可能
マイクロCTC検査は、1回5分の採血を受けるだけで簡単に全身のがんリスクをチェックできます。
従来では全身のがんの検査方法は追加の検査が必要になるケースもあり、1日以上の時間と30万円ほどの費用がかかります。
一方、マイクロCTC検査であれば1回5分という短時間で受けられるうえ、費用は198,000円と従来の方法よりも安価です。
とくに、仕事が忙しくなかなか検査を受けられない方や、検査に費用をかけたくない方も利用しやすいでしょう。
特異度94.45%の高精度
マイクロCTC検査は、血中に漏れ出した悪性度の高い間葉系がん細胞を、特異度94.45%の高精度で検出できます。
特異度とは、がんでない方を正しく判定する割合のことで、100%に近いほど検査結果が正確であるといえます。
そのため、特異度94.45%のマイクロCTC検査は、1回の検査で悪性のがんであるかどうかを高い精度で判定可能です。
乳がんを含めた全身のがんに備えたい方は、ぜひマイクロCTC検査を検討してみてください。
まとめ
乳がん検診は40代からの受診が推奨されています。また、20代・30代でも家族や親戚に乳がんに罹った方がいる場合は、乳がん検診をした方がいい場合もあります。
乳がんは現在日本で女性が罹患するがんのなかで最も多いがんです。しかし、日本の乳がん検診の受診率は50%以下と、海外と比べても低い割合に留まっています。
若い世代からブレスト・アウェアネスやがん検診への興味を持てば、今後のがん死亡率の減少につながるかもしれません。