乳がんは、女性がかかるがんのなかで最も多い病気とされています。
しかし20代は健康上の問題を抱えにくいうえ、仕事やプライベートなどで忙しい毎日を送る方が多い時期です。
また乳がん検診の対象年齢には30~40代以上と記載のあるケースが多いこともあり、20代で検診を受ける必要があるのかどうかわからない方もいるでしょう。
一般的に20代で乳がんを発症するリスクは低いとされていますが、なかには20代でも受診した方がよいケースもあります。
本記事では、20代における乳がん検診の必要性を解説します。受診にかかる費用や検査方法の種類も詳しく紹介するため、ぜひ参考にしてください。
乳がん検診は20代で必要?
乳がんは女性が罹患するがんのなかで最も多い病気であるうえ、常に死亡原因の上位に位置しています。
しかし、20代のうちから検診を受ける必要があるのかわからない方もいるでしょう。ここでは、乳がん検診の20代における必要性を解説します。
親族に乳がんをかかった方がいる場合は20代から必要
乳がんにかかる原因のひとつに、遺伝があります。親・姉妹など親族でがんにかかった方がいる場合、発症リスクが2倍以上(※1)になるといわれています。
遺伝性に多いのは、若年性乳がんです。そのため親族のなかに乳がんにかかった方がいる場合には、20代から検診を受けた方が安心でしょう。
ただし、乳がんの遺伝率は5~10%程度(※2)です。親族の中に乳がんの方がいたとしても必ずかかるわけではないことを覚えておきましょう。
国は40代以降の受診を推奨
乳がん検診は、厚生労働省が推進しているがん検診のひとつです。
40歳以上の症状がない女性を対象に、2年に1回の受診が推奨されています。
しかし、40歳以上でなくても検診を受けることは可能です。自治体により、20代以上を対象に乳がん検診を実施しているところもあります。
乳がんのリスクが高い方、セルフチェックで気になる点があった方は受診を検討しましょう。
ただし乳がん検診で実施される主な検査は放射線を使用したものであるため、妊娠中や妊娠の可能性がある方、授乳中の方は原則不可のケースが多いです。
該当する方は、授乳終了後に受けるとよいでしょう。
乳がん検診にかかる費用
乳がん検診は、受診方法により費用に大きな違いがあります。ここで、方法別の乳がん検診にかかる費用を紹介します。
職場の健康診断
会社で働いている場合、職場の健康診断とあわせてがん検診も受けられるケースが多く見受けられます。検診にかかる費用は、無料もしくは1,000円程度です。
市区町村の検診
乳がん検診は、自治体でも実施されています。
職場での検診が受けられない方は、市区町村で実施されている検診の受診を検討するとよいでしょう。
乳がん検診の内容や対象者、費用は自治体により異なります。ここで、いくつかの自治体で実施している、乳がん検診の内容を紹介します。
対象者 | 内容 | 費用 | |
---|---|---|---|
東京都八王子市 | 八王子市に住民票がある40歳以上の女性(昭和59年3月31日までに生まれた方)で前年度の検診を受けていない方 | 問診・視診・触診・乳房X線検査(マンモグラフィ) | 2,000円 |
大阪府大阪市 | 大阪市に住民票がある30歳以上の女性 | 30~39歳:超音波検査40歳以上:マンモグラフィ | 超音波検査:1,000円マンモグラフィ検査:1,500円※無料クーポン配布あり |
長野県飯田市 | 20歳以上 | 20~49歳:超音波検査40~89歳:マンモグラフィ検査 | 超音波検査:1,300円マンモグラフィ検査:集団検診 2,500円、個別検診 3,000円 |
かかる費用は、1,000~3,000円程度です。自治体によっては、無料クーポンを配布している場合もあります。
多くの自治体では30歳以上の女性が対象ですが、なかには20歳以上を対象としているところもあります。
自身が住んでいる自治体の公式サイトにて、乳がん検診の情報をチェックしてみましょう。
保険適用
職場や自治体で検診を受けられない場合、人間ドックや医療機関で個人的に検査を受けるほかありません。
かかる費用は一般的に全額自己負担となりますが、乳房に異常を感じて受診した際に検査の必要があると診断された方は保険適用となります。
ここで、保険適用された場合の平均費用を表にまとめます。
受診場所 | 費用 |
---|---|
人間ドック | 3,000円程度 |
一般の医療機関 | 6,000~10,000円程度 |
保険診療で受ける一般的な検査内容は通常の検診と同様、超音波検査やマンモグラフィ検査です。
医療機関の場合は初診料や診察料が別途発生するため、人間ドックよりも高くなります。費用をできる限り抑えたい方は、人間ドックで検査を受けるとよいでしょう。
自己負担
自覚症状のない方が個人的に乳がん検診を受ける場合、検査費用は全額自己負担となります。かかる費用は、次のとおりです。
受診場所 | 費用 |
---|---|
人間ドック | 10,000円程度 |
一般の医療機関 | 20,000~30,000円程度 |
保険診療で受ける場合と同様、人間ドックの方が料金を安く抑えることが可能です。出費を抑えたい方は、人間ドックを利用して検査を受けましょう。
乳がん検診の種類
乳がん検診の検査方法には、問診・マンモグラフィ・乳房超音波の3種類があります。
しかし受診を検討している方のなかには、どのような検査なのかわからず不安に感じている方もいるでしょう。
ここでは、各検査がどのようなものか詳しく解説します。
問診
乳がん検診の受付を済ませると、問診票が渡されます。
問診票には次の内容に関する質問が並んでいるため、ひとつずつ回答を記載しましょう。
- 生理周期や月経の状況
- 長期的な経口避妊薬服用の有無
- 妊娠・分娩・授乳歴
- がんにかかった親族の有無
- 検診受診の有無や受診時の判定・診断
診察室に移動後、問診票をもとに医師もしくは看護師による問診が行われます。
問診後に実施する検査の説明も一緒に行われるため、気になることがあれば相談しましょう。
マンモグラフィ
マンモグラフィは、乳房のX線検査のことです。
検査台に乳房をのせ、圧迫板ではさんだ状態で撮影が行われます。
マンモグラフィをおこなうことで、視診や触診では確認できない極小のしこりや初期がんにみられる石灰化の早期発見が期待できます。
石灰化の段階で発見できれば100%に近い治癒が期待できるため、マンモグラフィは重要な検査です。所要時間は、15~20分程度とされています。
ただし若い女性は乳腺が多いため、マンモグラフィでの精査が困難になるケースが多いようです。そのため、40代未満での受診は推奨されていません。
乳房超音波(エコー)
乳房超音波検査は、乳房に病変がないか超音波を使用して検査する方法です。
視診・触診などでは気づかないしこりの発見や、見つかったしこりが良性・悪性のどちらなのかを診断するために利用されます。
超音波検査はプローブと呼ばれる機械を乳房に当てるのみであるため、とくに痛みを感じることはありません。
そのため、マンモグラフィでは精査が難しい乳腺が多い若い女性の検査に最適です。
しかし、マンモグラフィと違い早期がんにみられやすい石灰化の発見は難しいようです。
より精密な検査をしたい方は、マンモグラフィもあわせて受けるとよいでしょう。
20代の乳がん検診に関するよくある質問
最後に、20代の乳がん検診に関してよくある質問へ回答します。
20代で受けた方がいい検診は?
20代では、人間ドックの基本検査をひととおり受けた方がよいでしょう。
女性の場合は妊娠・出産を迎える方も多い年代であるため、子宮頸がんや乳がん検診もあわせて受診すると安心です。
乳がん検診は乳腺に痛みを感じますか?
乳がん検診のひとつであるマンモグラフィ検査の場合は、痛みを感じるケースがあるようです。
これは、乳房を圧迫板ではさんだときに乳腺が圧迫されるためといわれています。
とくに20~30代の若い世代の女性は、乳腺が多いため痛みが感じやすいようです。乳がん検診には、マンモグラフィ検査のほかに超音波検査もあります。
超音波検査であれば痛みが出る心配がないため、不安な方は超音波検査にするとよいでしょう。
乳がんの前触れは何ですか?
乳がんは、がん細胞が小さい初期段階では何も症状が現れないケースが多いとされています。
一般的に5ミリ程度の大きさになると、マンモグラフィ検査で検出できるようになります。
初期に最も多い症状は、しこりを触れることです。触れても動きづらいうえに硬く痛みのないしこりは、乳がんの可能性が高いとされています。
しこりのほかにも乳房の皮膚にただれが起こる、左右の乳房の形が非対称になるなどの症状が出現するケースもあるようです。
早期発見のためには、日頃のセルフチェックが大切といえます。
乳がんをはじめ全身のがんリスクがわかるマイクロCTC検査
マイクロCTC検査は、乳がんはもちろん、全身のがんリスクが調べられる検査です。
乳がん検診をはじめとするがん検診は、特定の部位しか検査できません。
一方、マイクロCTC検査の場合、血中に漏れ出したがん細胞そのものを捉えるため、全身に潜んでいるがんを見つけ出すことが可能です。
ここからは、マイクロCTC検査のメリット・特徴をお伝えします。
1回5分の採血だけでがんリスクがわかる
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかります。
短時間で検査が終了するため、忙しい方でも気軽に受けられるメリットがあります。
また、少量の血液を採取するのみで、衣服を脱ぐ必要はありません。
マンモグラフィ検査や乳房超音波検査は、上半身裸になり、乳房を薄く伸ばしたり、正しい位置に調整したり、乳房を触られることが多い検査です。
「胸を見られるのは恥ずかしい」「胸を触られることに抵抗がある」と悩んでいる方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
悪性度の高いがんだけを捕捉
マイクロCTC検査は、悪性度の高いがんのみを捉え、その個数までをも明確にする先進的な検査です。
がん細胞には、おもに「間葉系のがん細胞」と「上皮性のがん細胞」の2種類があります。
「間葉系のがん細胞」は、周辺の臓器や組織に浸潤し、がんを転移させる高い能力を持っているため、悪性度が高いがん細胞です。
一方、悪性度の低い「上皮性のがん細胞」は、浸潤・転移や再発のリスクはありません。進行せずそのままの状態で留まっている場合が多く、治療が不必要なものも存在します。
しかし、一部の「上皮性のがん細胞」は「間葉系のがん細胞」に進行する恐れがあります。
非上皮(骨・軟骨・筋肉)の「間葉系のがん細胞」と、上皮間葉転換を経て進行した「間葉系のがん細胞」のみを特定して捕捉できる点も、マイクロCTC検査の特徴です。
全国のクリニックで検査できる
マイクロCTC検査は、全国のクリニックで対応しています。
近隣のクリニックで検査が受けられるため、仕事やプライベートで忙しい20代の方も受診しやすいでしょう。
また、マイクロCTC検査は国内に検査センターを設けており、採血後すぐに検査できる体制を整えています。
全国から到着した血液検体は、迅速かつ丁寧に分析し、高精度を保っています。
手軽かつスピーディーに検査が受けられる点と、正確性・信頼性の高さがマイクロCTC検査の強みです。
まとめ
20代は乳がんの発症率が低い年代ですが、親族に乳がんにかかった方がいる場合は発症リスクが高いとされています。
遺伝性では若年性乳がんが多くみられるため、親や姉妹など親族のなかに乳がんにかかった方がいる場合は20代から受診するとよいでしょう。
検査方法には問診・マンモグラフィ・超音波の3種類があり、受診にかかる費用は職場・自治体・個人により大きく異なります。
費用は高くなりますが、人間ドックや医療機関を利用すれば誰でも乳がん検診を受けることは可能です。
まずは、職場や自治体で乳がん検診を受けられるのかどうか確認してみましょう。
※本記事の情報は2023年9月時点のものです。