がん検診について受診を検討したことはあるでしょうか。
30代でも種類によりがんが増加してくる年齢です。
がんは早期発見して早期治療につなげることが生存率を増加させます。
受診を考えた際、がん検診の種類やメリット、費用は気になるところでしょう。
本記事では、30代の方に検討してほしいがん検診の種類やメリットについて解説します。
最後まで読んで、ぜひがん検診の受診を検討してください。
30代はがん検診を受診する必要がある?
30代の方でも、周囲にがんの診断を受けた方がいたり、健康診断で異常値を指摘されたりするとがんの可能性を意識するのかもしれません。
実際に、30代でも検診受診を勧められているがんもあります。
しかし、それほど自身ががんになる可能性が高くないと考える方は、がん検診の必要性を感じないのかもしれません。
本章では、30代のうちにがん検診を受診する必要性を解説します。
30代男女のがん検診受診率
厚生労働省は、科学的根拠に基づいて年齢ごとに検診効果が高いとされるがん検診を設定し、市町村の事業としてがん検診がおこなわれるよう指針を示しています。
受診を勧めているがん検診は、30代に対しては子宮頸がん検診のみです。
厚生労働省のデータでは、2019年の30代の子宮頸がん検診の受診率は、2年分の合計で50%前後となります。
30代男性がどの程度がん検診を受けているのか公のデータはありません。
精密検査でがんの早期発見へつながる
30代のがん検診の受診率は高くありませんが、がん検診には多数のメリットがあります。
第一に、早期発見、早期治療による救命です。
厚生労働省は、がんによる死亡率を低下させる効果があると判断したがん検診を推奨しています。
実際に、15歳から39歳のAYA世代と言われている世代のがんは、25歳を過ぎると飛躍的に増加し、30歳から39歳で発症しているものが40歳未満のがん全体の約70%です。
また、20歳以後のがんの症例の約80%が女性で、年齢にしたがい増加する特徴を持ちます。
これは乳がんと子宮頚がんが30代になると急激に増加することが原因です。すなわち、30代の方は子宮頸がん検診を受診したほうがよいことになります。
第二のメリットは、早期がんを発見できることです。
自覚症状が出るころには、がんは進行していることも少なくありません。
進行がんで見つかった場合、治療の負担も大きく、治癒の可能性も下がります。
早期の段階で見つけるためには、30代以降の定期受診が重要です。
第三のメリットは、がん検診で異常なしと判定されれば次の定期検診まで安心して過ごせることです。
がん検診と人間ドックの違い
がん検診には、いくつかの種類があります。上記のように、30代の方はがん検診の種類が少ないため人間ドックを検討する方もいるでしょう。
自治体で受けるがん検診と人間ドックは目的や対象、仕組みなどが異なります。
本章ではがん検診と人間ドックの違いについて解説します。
対策型がん検診と任意型がん検診について
対策型がん検診とは、公共のがん予防対策、すなわち政策としておこなわれている検診です。
対象となる方全体の死亡率減少を目的とし、有効性が確立したがん検診が選択されています。
利益と不利益のバランスを考慮したうえで、利益が不利益を上回り、なおかつ不利益を最小化するよう設定されています。
一方、任意型検診は対策型検診以外の検診のことで、方法はさまざまです。たとえば医療機関がおこなう人間ドックが該当します。
一定の方法や規制がないため、適切な情報を提供したうえで、利益と不利益のバランスは個人の判断です。
目的と対象者
対策型検診の目的は、対象集団全体の死亡率を下げることです。
検診の対象者は、一定の年齢範囲や性別など設定された条件の国民全員です。
ただし、無症状であることが条件となります。
症状があり、診療の対象となる方は検診対象者ではありません。
任意型検診は個人の死亡リスクを下げることが目的です。
検診対象者は定義されませんが、こちらも無症状であることが条件となります。
受けられる検診の種類
対策型検診で受けられる検診の種類は次のとおりです。
種類 | 検査項目 | 対象者 |
---|---|---|
胃がん検診 | 問診、胃部X線検査または胃内視鏡検査 | 50歳以上 |
子宮頸がん検診 | 問診、視診、内診、細胞診 | 20歳以上 |
肺がん検診 | 問診、胸部X線、喀痰細胞診 | 40歳以上 |
乳がん検診 | 問診、マンモグラフィ | 40歳以上 |
大腸がん検診 | 問診、便潜血検査 | 40歳以上 |
一方、任意型検診は方法や種類を自由に選択できることが特徴です。
30代男性が受けるべきがん検診の種類
30代の男性に勧められるがん検診が3種類あります。大腸がん、胃がん、肺がんです。
中高年に比べれば発症頻度は低いものの、発症した際には進行が速い傾向にあるため、早期発見が重要です。
本章では30代男性が受けることを勧めるがん検診について解説します。
大腸がん
大腸がんは、消化管の中で出口に近い、大腸に発生するがんです。
日本人で増加傾向にあり、発症は60歳代にピークがあります。
しかし、5~10%の頻度で30歳代に発症し、大腸がんにかかりやすい因子は次のとおりです。
- 大腸ポリープになったことがある
- 血縁者の中に大腸癌にかかった方がいる
- 長い間潰瘍性大腸炎にかかっている
- 治りにくい痔瘻(じろう)
検診は主に問診と便潜血検査で負担が少なくおこなえます。
陽性の場合には内視鏡、CT、血液検査などの精密検査に進みます。
胃がん
胃がんとは、胃にできるがんです。一般的な胃がんは50代を過ぎてから増加しますが、なかでもスキルス胃がんは20代や30代の若年層にも発生します。
胃がん検診の方法は、胃部X線検査または胃内視鏡検査です。
胃部X線検査では、胃を膨らませるための発泡剤と造影剤であるバリウムを飲み、胃の中の粘膜を観察します。
胃内視鏡検査は、口又は鼻から内視鏡を挿入し、胃の内部を観察する検査です。
検査時に疑わしい部位があれば、そのまま組織を採取する生検をおこなえるメリットがあります。
肺がん
肺がんは肺の中の気管支や肺胞にできるがんです。
発生した部位により、肺の入り口付近の太い気管支にできる中心型と、末梢の気管支や肺胞などにできる末梢型に分けられます。
40歳代から増加し、年齢が上がるにしたがい罹患率が上がることが知られています。
がんの中で最も多く、男女とも死因の上位です。
少ないながらも、20歳代でも肺がんになる可能性はあるため、肺がん検診が重要です。
肺がん検診は、問診、胸部X線検査でおこなわれ、長期間の大量喫煙歴がある方は喀痰細胞診もあわせておこないます。
胸部X線検査は末梢型の肺がんを発見するのに有用ですが、中心型の肺がんは早期から喀痰にがん細胞が観察されることが多いため、X線検査と喀痰検査を組み合わせておこないます。
30代女性が受けるべきがん検診の種類
先述したとおり、30代でがんが増加する原因は、30代女性で子宮頸がんと乳がんが増加するためです。
30代の罹患率1位が乳がん、2位が子宮頸がんです。
また、20~39歳までのがん患者の約80%が女性で、年齢に伴い増加するデータがあります。
30代の女性はとくにがん検診を受けるメリットが大きいといえるでしょう。
こういった傾向を受けて、厚生労働省は、対策型検診として、20歳以上の女性は2年に一度の定期検診を推奨しています。
子宮頸がん検診はもちろんのこと、ほかにも30代女性がうけるとよいがん検診を解説します。
乳がん
日本人の乳がんは、女性ホルモンが関連して発祥するタイプが全体の8割を占めています。
これが若い世代で乳がんが多い理由です。
しかし、早期で見つかれば生存率の高いがんでもあります。
国立がん研究センターの公表したデータでは、ステージ0では5年生存率、10年生存率ともに100%です。そのため定期的にがん検診を受けることが重要です。
厚生労働省は、40歳以上の女性に対し、2年に一度の検診を推奨しており、その方法は乳房エックス線検査(マンモグラフィ)単独法です。
ただし、30代後半からは乳がんの罹患率が増加するため、任意型検診としての受診も勧められます。
マンモグラフィ検査は乳房専用のX線で、乳房を圧迫して撮影すると乳がんのしこりと石灰化が白く映し出される検査です。
若い方は乳腺組織が豊富なため病変の判別が難しいことがあり、エコー検査と組み合わせておこなわれることもあります。
エコー検査では石灰化病変を描出するのは困難ですが、放射線被ばくがないことも強みです。
参考:乳がんはストレスで悪化する!乳がんの原因や予防する生活習慣のポイントを解説
子宮がん
厚生労働省は、20歳から、2年に1回子宮頸がん検診を受けることを推奨しており、これにより死亡率が低下すると考えています。
子宮頸がん検診の内容は、問診、視診、内診と医師が子宮頸部をこすって採取した細胞診です。
細胞診の結果、子宮頸がんや前がん病変である子宮頸部異形成の診断となれば、精密検査に進み、早期診断、早期治療が可能になります。
大腸がん
日本人女性のがんのなかでもっとも死亡数が多いのは大腸がんで、その数は30代から増加します。
大腸がんの原因には食生活や飲酒、喫煙などさまざまありますが、便秘による腸内環境の悪化もリスクを上昇させると示唆されています。
女性は便秘に悩んでいる方も多いため、大腸がん発症と関連があるのかもしれません。
一方、大腸がんは早期に発見できれば生存率の高いがんです。
早期発見のため、一般的な検診で勧められるのは便潜血検査ですが、陽性となれば大腸内視鏡検査による精密検査に進みます。
大腸内視鏡検査では、大腸ポリープも検索可能です。
大腸ポリープにはがん化して大腸がんになるタイプのものがあり、早期に発見し内視鏡で切除できます。
30代の方におすすめのマイクロCTC検査
マイクロCTC検査は、手軽に、かつ短時間で全身のがんリスクがわかるため、仕事やプライベートに忙しい30代の方にもおすすめです。
1回5分の採血検査で、胃がん・肺がん・大腸がん・乳がん・子宮頸がんなどのリスクが判明します。
マイクロCTC検査は、受けるべきがん検診をすべて網羅できる画期的な検査です。
ここからは、マイクロCTC検査の特徴をお伝えします。
1回5分の採血のみで全身のがんリスクがわかる
マイクロCTC検査は、1回5分の採血のみで全身のがんリスクが調べられます。
採取する血液は少量で、検査後すぐに帰宅が可能です。事前の準備や食事制限などもありません。
がん細胞は、増殖に必要な栄養と酸素を血管から吸収する過程で、血中に漏れ出す特性を持っています。
マイクロCTC検査では、漏れ出したがん細胞のうち、悪性度の高い「間葉系がん細胞」の検出と捕捉、さらに個数の明示も可能です。
通常のがん検診より費用負担が少ない
マイクロCTC検査は、通常のがん検診より費用負担が少ない検査です。
通常のがん検診で全身を総合的に調べるためには、任意型の検診を受診する必要があります。
総合検診は、男性で234,800円、女性で267,800円程度の費用がかかります。※
マイクロCTC検査の場合、198,000円で全身のリスク検査が可能です。※
少しでもリーズナブルに検査を受けたい方は、マイクロCTC検査がおすすめです。
がんは、早期に発見すれば治療費・入院費の費用が抑えられます。一方、がんが進行すると高額な費用がかかるため、経済的な負担が大きく、治療の選択肢も狭まります。
そのため、がんは早期発見・治療が大切です。
特異度94.45%を誇る高精度
マイクロCTC検査は、特異度94.45%を誇る高精度の検査です。
「間葉系がん細胞」の検出に優れているCSV(細胞表面ビメンチン)抗体を利用することで、高い精度を実現しています。
マイクロCTC検査では、血中に漏れ出したがん細胞を直接捉えるため、陽性の場合、体内にがん細胞が存在していることが明らかです。
一方、がん細胞が存在しない場合は捕捉が不可能なため、陰性と判定されます。
通常のがん検診は、「偽陽性」「偽陰性」「過剰診断」の可能性を否定できません。がんを見落としてしまったり、不必要な検査・治療をおこなったりするリスクがあります。
信頼できる全身のがんリスク検査を受けたい方は、マイクロCTC検査をご検討ください。
30代のがん検診費用相場と保険適用の可否
がん検診を受診する際には費用がかかります。
がん検診の費用が自治体と自由診療で受ける場合でどの程度かかるかや、保険適応の可否について解説します。
自治体で受けるがん検診の費用
自治体で実施する対策型検診は、がんの種類にかかわらず自治体の費用負担が一部あります。
したがって検診単価より自己負担額は大幅に安くなります。
30代の方が自治体で受けられるがん検診は、子宮頸がん検診のみです。
子宮頸がん検診には検診単価で平均6,752円、自己負担額は平均1,396円の費用がかかります。
また、検診には保険適用はありません。病気の治療ではないためです。
しかし検診で異常が発見された場合、治療には健康保険が適用されます。
また、加入している健康保険組合で検診費用の助成がある場合もあるため、確認してみましょう。
自由診療で受けるがん検診の費用
自由診療でがん検診を受ける場合、個別のがんを調べるのか、全身のがん検索をおこなうのかで費用は大きく異なります。
たとえば乳がん検診を自由診療で受けるには、全額自己負担で超音波検査とマンモグラフィ検査を両方おこなう場合で10,000円程度、超音波検査のみで4,000円程度、マンモグラフィ検査のみで5,000~6,000円程度です。
胃や大腸の内視鏡検査も10,000円程度がかかります。
がん検索を目的に、全身の画像検査をおこなう検査もあります。
PET検査で費用相場10万円前後、MRI(DWIBS)検査で費用相場5~8万円前後です。
がん検診の費用をおさえる方法
がん検診を体のすみずみまでおこなおうと考えると、費用も高額になりかねません。
費用をおさえるためにがん検診の種類を減らすのも、がんのリスクが心配になるでしょう。
そこで本章では、がん検診の費用をおさえる方法を解説します。
自治体でがん検診を受ける
自治体でがん検診を受ければ、自治体の補助が出るため自己負担は減額可能です。
ただし、自治体で受けられるがん検診は限られるため、自由には選べません。
職域でがん検診を受ける
国民生活基礎調査によると、がん検診を受けた方の約30~60%が職域におけるがん検診を受けています。
しかし、自治体で受けるがん検診が健康増進法といった法的根拠があるのに対し、職域におけるがん検診は保険者や事業者が福利厚生の一環として規制なく実施している検査で法的根拠がありません。
元来検査項目や対象年齢などの方法はさまざまで、規制なくおこなわれてきました。
しかし現在、厚生労働省は職域におけるがん検診に関するマニュアルを作成し、検診の内容を自治体で受けるがん検診と同一のものとするよう勧告しています。
したがって、自治体で受ける場合と同様、受けられるがん検診の種類には制限があります。
費用は無料かごく少額の自己負担でおこなわれている場合が多いです。
医療機関でがん検診を受ける
自由診療として医療機関でがん検診を受ける場合、費用補助がさまざまあります。
まず、所属する健康保険から補助を受ける場合です。組合健保に加入している場合には、人間ドックの費用補助が受けられることがあります。
加入している団体により異なりますが、保険加入者に加えて扶養家族も対象にしている場合があります。
次に、協会けんぽに加入している方は人間ドック総統の検査を通常より安く受けることが可能です。
また、国民健康保険加入の場合、一部の自治体では人間ドックの費用を一部負担する制度もあります。
民間の生命保険会社に加入している場合も割引制度を実施している場合があるため、問い合わせてみましょう。
参照元:人間ドックの平均費用は3~5万円 – 費用補助など安く受ける方法を紹介|人間ドックのミカタ
まとめ
30代でもがんは増加し始めており、がん検診が勧められるがんもいくつかあります。
費用をおさえる方法もあわせて解説したため、自身の職場や加入している保険の補助制度を確認し、ぜひ受診を検討しましょう。
参考:マイクロCTC