がんは、日本人の死因1位です。毎年多くの方ががんにより亡くなっています。
そのため、「がんになったらどうしよう」と不安を抱えている方も多くいるでしょう。
しかし、がん治療は年々進化をし、がんは治らない病気ではなくなりました。がんは、早期に発見し、適切な治療を行えば完治が可能です。
また、近年では「がんは予防する時代」といわれており、生活習慣や食事に気をつけることで、がんのリスク低下につながると考えられています。
本記事では、がんの予防方法、早期発見のための検査方法など、詳しく解説します。
「備えあれば憂いなし」と、ことわざにもあるように、今こそがんに関する正しい知識を身につけましょう。
がんとは
がんは、日本人の死因の1位を占める疾患であり、毎年30万人以上の方が亡くなっている深刻な国民病の一つです。※1
日本人の2~3人に1人はがんになる可能性があるといわれています。
男女別にみると、がんで死亡する確率は、男性で26.5%、女性で17.7%です。※2
ここからは、がん疾患の基礎知識、がんの死亡率を紹介します。がんに対する正しい知識を身につけて、がんの早期発見・早期治療につなげましょう。
がんとは腫瘍と呼ばれる細胞のかたまり
がんは、悪性腫瘍とよばれる細胞のかたまりです。
細胞の中に存在するのは、それぞれ決められた役割をもつ遺伝子です。
本来、細胞は体や周囲の状態に応じて遺伝子が働き、増えたり、増えることを止めたりしますが、何らかの原因で遺伝子に傷が生じる場合があります。
遺伝子の傷により正常な細胞に異変が起こると、細胞が増え続けてしまうケースがあります。
増加した細胞のかたまりは腫瘍とよばれ、悪性腫瘍(がん)と良性腫瘍に分類されます。
悪性腫瘍は、増殖しながら周囲にしみ込むように広がったり、リンパや血管を介して体内に新しいかたまりを作ったりします。(がんの浸潤・転移)
放置していると全身に広がり、さまざまな悪い影響をもたらすため、治療は不可欠です。
良性腫瘍は、生涯にわたり症状があらわれないケースや、進行せずそのままの状態に留まり、命を脅かす危険がない場合が多いです。
日本人の死因1位
がんは、日本人の死亡原因の1位です。昭和56年(1981年)から現在まで、40年以上も死因原因のトップに位置しています。
厚生労働省の「令和3年(2021年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」の統計では、がんの死亡数は38万以上と、全死亡者の26.5%を占めています。※3
<おもな死因の順位(令和3年(2021年))>
死因 | 割合 | |
---|---|---|
1位 | 悪性新生物(がん・腫瘍) | 26.5% |
2位 | 心疾患(高血圧性を除く) | 14.9% |
3位 | 老衰 | 10.6% |
4位 | 脳血管疾患 | 7.3% |
5位 | 肺炎 | 5.1% |
がんの死亡率
2021年のデータによると、男性は26.5%と4人に1人が、女性は17.7%と6人に1人が、がんで亡くなっています。※4
部位別がん死亡率の順位は、下記のとおりです。
<部位別がん死亡率の順位(男女別)>
1位 | 2位 | 3位 | 4位 | 5位 | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 肺がん | 大腸がん | 胃がん | 膵臓がん | 肝臓がん |
女性 | 大腸がん | 肺がん | 膵臓がん | 乳がん | 胃がん |
部位別のがんでは、男女ともに、罹患数が多い肺がんと大腸がん、進行のスピードが速く、5年相対生存率が著しく低い膵臓がんが上位です。
早期発見・早期治療が重要
がんは、初期に発見し、適切な治療を行えば完治が見込める疾患です。
しかし、多くのがんは、初期の自覚症状がなく、気が付かないうちに進行しているケースが少なくありません。
がんは、がん細胞が周辺の組織に浸潤し、リンパや血液を介してさまざまな臓器に転移します。
全身にがん細胞が広がると、現代医療においても治療方法が残されていない、末期症状の状態になる恐れがあります。
がん治療に最も重要なことは、早期発見・早期治療です。
そのため、定期的ながん検診の受診が大切ですが、日本のがん検診受診率は低いと言わざるを得ません。
国立がん研究センターが発表した国民生活基礎調査によると、日本のがん検診の受診率は約40%と半数にも満たない結果でした。※5
がん検診を受診しない理由について一番多く寄せられた回答は、「受ける時間がないから」でした。※6
「がん検診を受ける時間がない」と受診を迷われている方は、採血のみの1回5分で全身のがんリスクが明確になるマイクロCTC検査をご検討ください。
がん罹患の可能性が高くなる生活習慣
がん罹患には、下記が深く関係していると考えられています。
- 乱れた食生活
- 過度な飲酒・喫煙
- 運動不足
これらの要因とがんの因果関係については、国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」で報告されています。※7
ここからは、がんのリスクをあげる可能性がある生活習慣をお伝えします。
乱れた食生活
がんは、食生活と密接に関わりがあります。
近年では、肉類・加工肉などの欧米型食事により、大腸がんの罹患率が上昇していると考えられています。
「忙しい」「面倒だから」などの理由で、がんの発症リスクを高める加工品やインスタント食品を中心とした食生活を送っている方も少なくないでしょう。
がんの予防には、乱れた食生活の改善が重要です。
栄養バランスの偏った食生活を正し、がんをはじめとするさまざまな疾患のリスクを下げましょう。
過度な飲酒・喫煙
国立がん研究センターの調査結果では、1日あたり平均アルコール摂取量が46g以上で40%、69g以上で60%程度、がんのリスクが上昇します。※8
過度な飲酒は、大腸がん、肝臓がん、胃がんなどのがんのリスクを高めるため、適量を心がけることが大切です。
厚生労働省は、「節度ある程度な飲酒」として1日平均純アルコール20g程度としています。
お酒の種類に換算すると、ビール中瓶1本(500ml)、清酒1合(180ml)、ウイスキー・ブランデーダブル(60ml)、焼酎35度1合(180ml)、ワイン1杯(120ml)です。※9
また、喫煙者は、非喫煙者と比べて男性で1.5倍、女性で1.3倍、がんリスクが高いと報告されています。
がんの罹患率においても、男性の23.6%、女性の4.0%は喫煙者です。※10
禁煙は、がんの予防に必要不可欠です。
運動不足
運動不足は、血糖を下げるホルモンであるインスリンの働きを悪くし、血糖値を上昇させます。
運動不足による血糖値の上昇に加え、免疫力や脂肪の吸収を調整する機能を低下させることから、がんの発症につながると考えられています。
適度な運動は、がん予防に有効です。
日ごろ運動不足に陥りやすいデスクワーク中心の方は、階段を使うように心がけたり、20分程度のウォーキングや筋トレを取り入れたり、体の活動量を上げましょう。
また、太りすぎ・痩せすぎもがんのリスクが高くなります。
適正体重を維持するよう、体重管理に注力しましょう。
がん予防のための食生活
がん予防には、下記の食生活に気をつけることが大切です。
- 減塩する
- 果物と野菜を摂取する
- 熱い飲み物は冷ます
ここで、気をつけるべき点について詳しくお伝えします。
減塩する
日本人はしょうゆ、味噌、塩などの調味料を多く使用する傾向があり、他国と比べて食塩摂取量が大きく上回っています。※11
塩分摂取量が多い食事は、日本人のがん1位である胃がんのリスクを高めるため、摂取を控えることが大切です。
果物と野菜を摂取する
果物と野菜の摂取は、食道がん、胃がん、肺がん、大腸がんのリスク低下につながると評価されています。
果物を含む野菜の摂取目安は、野菜を小鉢5皿分、果物を1皿分です。積極的に野菜・果物中心の食生活を心がけましょう。
熱い飲み物は冷ます
熱い飲み物は、食道がんのリスクをあげます。
とくに65度以上の飲食物は注意が必要です。口腔や食道の粘膜を傷つけて、がんの発症リスクを上昇させます。
熱いお茶やコーヒー・紅茶などは、少し冷ましてから飲む習慣を身につけましょう。
がんに良い食べ物
がん予防の効果が期待できる食べ物は、おもに野菜と果物です。
ここで、野菜・果物ががん予防に効果的な理由と、がん予防によいとされている成分について詳しく紹介します。
野菜
野菜には、カロテン、葉酸、ビタミン、イソチオシアネート、食物繊維などの物質が多く含まれています。
これらの物質は、発がん物質を解毒する酵素の働きを活性化させたり、体内で増加した活性酸素を消去したりする働きがあります。
とくに、がん抑制作用が高い野菜は、ニンニク、キャベツ、生姜、にんじん、セロリ、玉ねぎ、ブロッコリー、カリフラワーです。
果物
野菜同様、カロテンやビタミン、食物繊維などを多く含む果物にも、がん予防の有効性が評価されています。
がん予防の効果がある果物は、オレンジ、レモン、グレープフルーツなどの柑橘類のほか、メロン、ローズマリー、ベリーです。
食事に予防効果の高い果物を一皿加えて、がんのリスクを減らしましょう。
がんに良い成分
ビタミンA(カロテンを含む)やビタミンCは、抗酸化ビタミンとよばれており、発がん物質が体内で作られるのを阻止する働きがあります。
また、免疫力の低下を引き起こす活性酸素の働きを抑える作用もあります。
がんを予防し、発症リスクを下げるためには、普段の食事に抗酸化ビタミンを上手に取り入れることが大切です。
がんによい食べ物「デザイナーズフーズピラミッド」とは
デザイナーズフーズピラミッドとは、1990年にアメリカ国立がん研究所(NCI)が計画したプログラムです。※1213
健全な食生活はがんの予防に大きな影響を及ぼすことから、食生活の見直しを目的としています。
ここからは、デザイナーズフーズピラミッドを詳しく紹介します。
デザイナーズフーズピラミッドとは
デザイナーズフーズピラミッドは、野菜や果物に含まれる機能性成分であるファイトケミカルに着目し、上から順に、がん予防の効果が高い食物をピラミッド型に配置しています。
おもに、ユリ科、アブラナ科、ナス科、ウリ科、キク科、ミカン科、キノコ科、海藻類、穀類・豆類・油糧種子、香辛料、嗜好品の12の食品群にわかれています。
ピラミッドの上位にある食物ほどがんの予防が期待できると考えられていますが、上位にある食物のみを大量に食べればよいわけではありません。
1~2日の食事で、12分類に含まれる食品をバランスよく食べることを推奨しています。
<がんをはじめとする生活習慣病の予防が期待できる12の食品群>
ユリ科 | 玉ねぎ、ニンニク、アサツキ、ニラ |
アブラナ科 | キャベツ、ブロッコリ、カリフラワー、ダイコン、カブ、メキャベツ |
ナス科 | トマト、ナス、ピーマン、ジャガイモ |
セリ科 | にんじん、セロリ、パースニップ、パセリ、セリ |
ウリ科 | キュウリ、メロン、カボチャ |
○キク科 | ゴボウ、シュンギク |
ミカン科 | オレンジ、レモン、グレープフルーツ |
○キノコ科 | シイタケ、エノキ、マッシュルーム、キクラゲ |
○海藻類 | ヒジキ、ワカメ、コンブ |
穀類・豆類・油糧種子 | 玄米、全粒小麦、大麦、亜麻、エン麦、大豆、インゲン豆、オリーブ |
香辛料 | 生姜、ターメリック(ウコン)、ローズマリー、セイジ、タイム、バジル、タラゴン、カンゾウ、ハッカ、オレガノ、ゴマ、シソ |
嗜好品 | 緑茶、紅茶、ウーロン茶、ココア |
参考:大澤 俊彦「がん予防と食品 デザイナーフーズからファンクショナルフーズへ」
がんに良い「にんにく」
デザイナーズフーズピラミッドの頂点は、にんにくです。
にんにくに含まれているセレン(ミネラル)と、にんにくの強い匂いや苦味の成分である硫酸アリルは、がん予防に重要な抗酸化作用を持っています。
また、にんにくを切ったり、すりおろしたりすると、免疫力を高める効果が期待できるアリチアミンに変わります。
そのほか、キャベツ、甘草、大豆、生姜、にんじん、セロリ、パースニップががん予防の重要性の高いと報告されています。
早期発見には「マイクロCTC検査」
マイクロCTC検査は、たった1回の採血で全身がんのリスクが明確になる検査です。
従来の検査では難しい、1cm未満のがん細胞を捉え、その個数まで明示します。
また、所要時間は1回5分と、スピーディーに検査を終えることが可能です。
ここからは、マイクロCTC検査の詳細な情報をお伝えします。
「マイクロCTC検査」は、間葉系がん細胞を捉える
マイクロCTC検査は、悪性度の高い間葉系がん細胞を直接捕捉する検査です。
がん細胞は、体の表面(皮膚や内臓の表面など)に発症する上皮性がん細胞と、骨・筋肉や血液などに発症する間葉系がん細胞に分類されます。
間葉系がん細胞 | 上皮性がん細胞 | |
---|---|---|
発症する場所 | 骨・筋肉、血液 | 皮膚、内臓の表面など |
悪性度 | 高い | 低い |
特徴 | 運動力が高く、がんが周辺や遠隔の臓器に浸潤・転移する | 多くの場合、免疫の力により自然に消滅する |
間葉系がん細胞は、高い運動力を持っている点が特徴です。周辺の組織に浸潤し、リンパ筋やほかの臓器に転移する可能性があります。
上皮性がん細胞は、免疫力により消滅する可能性があり、ほどんどの場合、病変の悪化やがんの転移などの心配はありません。
マイクロCTC検査は、悪性度の高い間葉系がん細胞のみを捉えて、がん細胞の個数を明確にします。
上皮性がん細胞と上皮間葉転換(EMT)
上皮性がん細胞の一部は、悪性度の高い間葉系がん細胞へ形質変化する可能性があり、この過程が「上皮間葉転換(EMT)」です。
上皮間葉転換(EMT)は、がん細胞の移動・浸潤する能力が亢進し、がん転移が起こりやすいと考えられています。
上皮間葉転換(EMT)の状態でも、早期発見・早期治療を行えば完治は望めます。
しかし、従来の検査では、がんの場所や種類により、早期の発見が難しいケースも少なくありません。
マイクロCTC検査では、上皮間葉転換した間葉系がん細胞を直接捕捉する検査です。特異度94.45%と非常に高い精度で、全身のがん細胞の検出が可能です。※13
マイクロCTC検査で検出された場合がんの可能性が高い
マイクロCTC検査は、血液中の1cm未満の間葉系がん細胞を検出する検査です。
血中に間葉系がん細胞が検出された場合、体のどこかに浸潤・転移を起している、または起しかけている悪性度の高いがん細胞があるといえます。
反対に、陰性だった場合は、94.45%の可能性で陰性反応が出ます。※14
CT検査やMRI検査などの画像診断では、がんのサイズが1cm以上にならない限り、発見できません。
発見可能なサイズに至らないため「がんの疑いなし」と診断されても、間葉系のがんが発症している可能性があります。
マイクロCTC検査は、従来の検査と比べて、早い段階でがんリスクを正確に判断できる検査です。
まとめ
がんは早期に発見し、早期に治療を開始すれば完治が望める疾患です。
そして、さまざまな研究により、がんの予防に効果的な生活習慣もわかってきました。
生活習慣の中でも、とくに食生活の改善であれば、自身で比較的簡単に取り組むことができるでしょう。
また、従来のCT検査、MRI検査などの検査と比べて、早い段階で全身のがんリスクを明示できるマイクロCTC検査という先進的な血液検査が登場しました。
マイクロCTC検査は1回5分ほどで検査が終了します。仕事や家事が忙しく、がん検診を受診できない方でも、気軽に検査を受けられるでしょう。
がんは日本人の死因1位の病気です。誰もががんになる可能性があるといえます。
今できる生活習慣の改善を心がけて、定期的ながん検診の受診やマイクロCTC検査などを活用し、いつまでも健康に過ごしましょう。
〈参考サイト〉
※1:厚生労働省「政策レポート(がん対策について)」
※2、※4:がん情報サービス「がん統計」
※3:厚生労働省の「令和3年(2021年)人口動態統計月報年計(概数)の概況」
※5、※6:がん情報サービス「がん登録・統計 がん検診受診率(国民生活基礎調査)」
※7:国立がん研究センター「科学的根拠に基づくがん予防」
※8、※10:国立がん研究センター「がん予防法の提示 2022年8月3日改訂版 | 科学的根拠に基づくがんリスク評価とがん予防ガイドライン提言に関する研究」
※9:厚生労働省「アルコール「節度ある適度な飲酒」について」
※11:国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所「日本における食塩摂取量の現状」
※12:大澤 俊彦「がん予防と食品 デザイナーフーズからファンクショナルフーズへ」
※13、※14:マイクロCTC検査「血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査」