乳がんは主に遺伝や生活習慣が原因で発症するとされていますが、近年ストレスも影響する可能性があるといわれています。
実際、過去の研究ではストレスレベルが高い方はそうでない方に比べてがんの罹患率が上昇したという結果も出ているようです。
本記事では、乳がんとストレスの関係を徹底解説します。
乳がんでみられる症状や治療法などもあわせて紹介するため、ぜひ参考にしてみてください。
乳がんに対するストレスの影響
不安や恐怖、怒りなどのストレスは、がんの悪化につながる可能性があるといわれています。
現時点でストレスと乳がんの関連性については結論が出ていませんが、さまざまな報告が挙がっています。
ここでは、ストレスが乳がんに与えるとされている影響について解説します。
自律神経の乱れが乳がん細胞に影響
2019年に岡山大学の研究チームは、自律神経の乱れががんの進展に大きな影響を与えると発表しています。
自律神経のなかでもがんの進展に関係しているのは、ストレスを感じたときに活動が高まる交感神経です。
がん組織に入り込んだ交感神経の遺伝子を操作して刺激すると、乳がんの増大・転移が増加したようです。
一方で、遺伝子操作で交感神経の働きを抑制した場合には乳がんの増大や転移が発生しづらかったと発表しています。
ストレスと自律神経
そもそも自律神経とは何か、自律神経とストレスがどのように関係しているのかわからない方もいるでしょう。
自律神経とは、心臓の動きや呼吸・消化機能など人間が生きていくうえで必要不可欠な機能をコントロールしている神経です。
交感神経と副交感神経の2つに分かれています。
自律神経の種類 | 働き | 優位になったときの身体の変化 |
---|---|---|
交感神経 | ストレスを感じたときや緊急事態の際に身体の状態を整える役割。 | 心拍数上昇・発汗促進・気道拡張 など |
副交感神経 | エネルギーを温存させ、身体の回復を図る役割。 | 心拍数・血圧低下、消化・排泄促進 など |
ストレスを受けると交感神経が活発になり、副交感神経の働きが抑制されます。そのため、ストレスと自律神経は密接に関係していることがわかります。
自律神経を操作した治療
岡山大学の研究チームは、がん組織に入り込んだ交感神経の遺伝子を操作して刺激すると乳がんの増大・転移が増え、反対に遺伝子操作で交感神経を抑制すると乳がんの増大や転移を抑制できることを発見しました。
これにより、今後は自律神経を操作する治療が新たながん治療のひとつになる可能性があるとされています。
乳がんだけでなく、がんにはストレス軽減が有効
これまでの研究で、自覚的なストレスが常に高い状態にある方はすべてのがんの罹患率が高くなることがわかっています。
そのため、ストレスの軽減はがん予防に有効とされています。生活リズムを整える・適度な運動を取り入れる・禁煙するなど、日頃からストレスを溜め込まないようにしましょう。
乳がんとは
乳がんは乳腺の組織に生じるがんのことで、女性がかかるがんのなかで最も罹患率が高い病気です。
早期に発見できれば90%以上は治るとされていますが、進行するとリンパ節・肺・肝臓などに転移し命を脅かす可能性があるといわれており、2021年度には、乳がんで14,803人が死亡しています。※1
乳がんの主な症状
乳がんで最も多い症状は、乳房のしこりです。
しこりは、自身でわかるケースもあるため生理が終了してから1週間以内、閉経した方は月1回乳房にしこりがないかチェックしましょう。※2
最もできやすい部位は乳頭からわきの下あたりです。しこりのほかにも、乳房のくぼみ・乳頭・乳輪のただれなども現れやすいといわれています。
上記に該当する症状がある方は、できる限り早めに病院を受診しましょう。
乳がんの原因
乳がん全体の5~10%は、遺伝が原因とされています。※3
原因となる遺伝子の半数以上は、BRCA遺伝子と呼ばれるものです。
生まれながらにしてBRCA遺伝子に変異がある場合、乳がんの発症率は50~60%といわれています。※3
変異したBRCA遺伝子は性別関係なく50%の確率で子どもに遺伝するといわれているため、肉親に乳がんの方がいる場合は、乳がんになる可能性が非常に高いです。※3
乳がんの発症にはエストロゲンの分泌も深く関わっているとされており、体内のエストロゲン濃度が高いほど乳がんになりやすいとされています。
エストロゲンの分泌は、妊娠・閉経により自然と低下するものです。
しかし現代は、閉経年齢が以前に比べて遅いうえ高齢出産や出産をしない女性も増えています。これらによりエストロゲン濃度の高い方が増え、乳がんの罹患率が増加しているといわれています。
生活習慣も乳がんの発症リスクに影響を与える要因のひとつです。
閉経後の肥満、アルコール飲料の過剰摂取、喫煙習慣などは確実にがんの発症リスクを高めるといわれています。該当する点がある方は、健康的な生活を心がけましょう。
乳がんにかかりやすい方
乳がんにかかりやすいのは、次のような特徴がある方です。
- 40歳以上の方
- 初経年齢が早い方
- 閉経年齢が遅い方
- 妊娠・出産歴がない方
- 出産回数が少ない方
- 授乳歴がない方
- 高齢出産の方
- 両親に乳がんの既往歴がある方
- 肥満の方 など
上記に該当する場合でも、確実に乳がんを発症するわけではありません。しかし、上記に該当する方は乳がんになりやすいとされています。
早期発見・早期治療につながるよう。定期的な検診や乳房の自己チェックをおこなうことが大切です。
乳がんの種類
乳がんは、大きく分けて非浸潤がん・浸潤がん・パジェット病の3つがあります。
非浸潤(ひしんじゅん)がん
乳がんは発生当初、乳管や小葉に留まっており、このようながんを非浸潤がんとよびます。しこりは触れないケースが多く、乳がん検診で発見される場合が大半です。
非浸潤がんのうちに切除できれば、多くの場合は完治するといわれています。
浸潤がん
浸潤がんは、乳管外のリンパ管や血管にがんが広がった状態を指します。
しこりが触れる乳がんの多くは、非浸潤がんです。
浸潤がんでも、骨や肺など乳房から遠く離れた部位に転移していなければ治癒を目指した治療がおこなわれます。
パジェット病
全乳がんの1%未満という希少ながんで、乳頭の皮膚にがんが進展したものを指します。※4非浸潤がん同様にしこりは触れないケースが多いです。
パジェット病は、乳頭部分が赤くただれるびらんがきっかけとなり発見に至るケースが多いといわれています。
乳がんの治療
乳がんの治療には手術・放射線治療・薬物療法の3つがありますが、手術でのがん切除が基本的な治療となります。
手術の方法には、乳房温存療法と乳房切除術の2つがあります。
乳房温存療法
乳房温存療法は、がんを含めた乳房の一部を切除するものです。
がんから1~2cm離れた組織までが切除範囲となるため、乳房を残すことが可能です。切除したあと、残った組織で乳房の形を整えるまでが基本の内容となります。
乳房切除術
がんが広範囲に広がっている、もしくは乳房内に複数のがんがある場合には乳房のすべてを切除する乳房切除術が適用となります。
切除後は、保険適用で乳房再建手術を受けることも可能です。
乳がんは、早期発見できれば完治が見込める病気です。がんが広範囲に広がっていなければ、乳房の切除範囲も小さくてすみます。そのため、早い段階での発見が重要となります。
しかし、検査時の痛みが不安で受診を躊躇している方もいるでしょう。
実は、乳がん検査のなかには「マイクロCTC検査」とよばれる方法もあります。マイクロCTC検査は、一度の採血で乳がんを含めた全身のがんのリスクを調べられる検査です。
一般的な検査方法に不安がある方は、マイクロCTC検査の受診を検討してみましょう。
マイクロCTC検査は全身のがんリスクを検査
マイクロCTC検査は、全身のがんのリスクを調べられる検査です。
従来のがんのリスク診断は、リスクは大まかにしかわかりませんでした。
しかし、マイクロCTC検査では悪性度の高いがん細胞を捉えて個数を明確に提示できるため、従来よりも高精度でがんリスクの程度がわかるといわれています。
マイクロCTC検査は「間葉系がん細胞」を捉える
がん細胞は初期の段階では上皮に留まっていますが、上皮間葉転換とよばれる過程を経て浸潤・転移の可能性を持つ間葉系のがん細胞に移行するといわれています。
マイクロCTC検査で捉えるのは、浸潤や転移の可能性がある間葉系のがん細胞のみです。
世界有数のがんの研究治療施設「MDアンダーソンがんセンター」が開発したCSV抗体を導入し、がんではない方が陰性となる正確性が94.45%という高い精度を実現しています。※5
これにより、がんのリスクが明確にわかるとされています。
1回5分の採血で全身のがんリスクが検査できる
マイクロCTC検査で実施する項目は、採血のみです。
所要時間は1回5分程度と少しの空き時間で完了するため、仕事や育児で多忙な日々を送っている方でも受けやすい検査です。
マイクロCTC検査で検出された場合
悪性度の高いがん細胞を高精度で検出できるマイクロCTC検査ですが、検査を受けてがん細胞が検出された場合はどのような解釈になるのでしょうか。
がんの可能性が高い
マイクロCTC検査でがん細胞が検出された場合は、悪性度の高い間葉系のがん細胞が身体のどこかに存在していることになります。
そのため、CTやMRI、PETなどの画像診断や胃カメラでの精密ながん検査に移行します。画像診断の結果、がんの疑いが見つかった場合はがんの可能性が高いです。
画像診断が可能なサイズは約1cm
画像診断の結果、がんの疑いが見つからない場合も安心ではありません。
画像診断で検出可能ながん細胞のサイズは、約1cmからといわれています。※5
がん細胞は、1mm程度から徐々に大きくなっていくものです。
そのため、画像診断ではがんの疑いがあるという結果が出なくても1cmに至っていない間葉系がん細胞が身体のどこかにはある可能性が非常に高いです。
医師の指示に従い、検査や検診を忘れずに受けましょう。
まとめ
乳がんとストレスの関連性について、現段階では結論が出ていません。
しかし、これまでの研究でストレスレベルの高い方はすべてのがんの罹患リスクが高まるという結果が出ています。
そのため、日頃からストレス解消を意識的におこなうことが大切です。
また、乳がんは早期に発見できれば90%以上の確率で完治するといわれていますが、自身では気づけないケースも多いとされています。
そのため、人間ドックや乳がん検診の定期的な受診が大切です。
乳がんの一般的な検査で生じる痛みに不安がある方やあまり時間がとれない方は、まず採血のみで全身のがんのリスクチェックができるマイクロCTC検査を受けてみましょう。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。
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〈参考文献〉
※1:日本医師会
※2:宮城県予防医学協会
※3:愛知県がんセンター
※4:がん研有明病院
※5:マイクロCTC検査