日本人の死亡原因の第一位は、がんです。毎年30万人以上の方ががんで死亡しています。※1
しかし、これまで一度もがん検診を受けたことのない方や、3年以上がん検診を受診していない方が少なくありません。
日本では、がん検診の重要性や正しい知識・情報が定着していないといえるでしょう。
本記事では、日本のがん検診の受診率が低い理由から、がん検診の種類、がん検診を受けるメリット・デメリット、がん検診に関するよくある質問まで解説します。
がん検診は、自覚症状がない初期のがんを見つけ、早期に治療を開始するために必要不可欠です。がん検診の受診対象の方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本のがん患者数と受診率の傾向
日本のがんの罹患数・死亡数が増加しているにもかかわらず、がん検診の受診率が低いことを国や自治体は問題視しており、さまざまながん対策を実施しています。
ここで、現在の日本のがん患者数、がん検診の受診率を紹介し、受診率が低い理由を解説します。
増加傾向にある日本のがん患者数
日本では、がんにかかる人が増えており、男性の2人に一人、女性の3人に一人ががんになる時代といわれています。※2
また、罹患数の増加に伴い、がんによる死亡数も増えています。国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」によると、年間30万人以上の人ががんにより亡くなられています。※1
主な要因は日本人の高齢化ですが、食生活の欧米化が影響している背景も無視できません。
日本のがん検診受診率
日本のがん検診受診率は、約40%です。約60%の方はがん検診を受診していないことが判明しました。
がん検診の種類別受診率は下記のとおりです。
<男女別 がん検診受診率(2022年)>
胃がん (過去1年間) | 大腸がん (過去1年間) | 肺がん (過去1年間) | 乳がん (過去2年間) | 子宮頸がん (過去2年間) | |
---|---|---|---|---|---|
男性 | 47.5% | 49.1% | 53.2% | – | – |
女性 | 36.5% | 42.8% | 46.4% | 47.4% | 43.6% |
とくに、乳がん検診、子宮頸がん検診においては、アメリカ、イギリス、韓国、オーストラリアなどの受診率は70~80%と推定されています。※3
諸外国と比べると、日本は国際的に低い値です。
日本人ががん検診を受診しない理由
国民生活基礎調査の「平成28年度 がん対策に関する世論調査」によりますと、がん検診を受診しない理由について下記のような回答がありました。
- 受ける時間がない
- 健康状態に自信があり、必要性を感じない
- 必要なときはいつでも医療機関を受診できる
- 費用がかかり、経済的負担になる
- うっかり受診するのを忘れた
- 検査に伴う苦痛に不安がある
仕事や家庭などで忙しく、がん検診を受ける時間がとれないという声が多く見受けられました。
しかし、最近では健康診断の際に一緒に受けられるがん検診や、一部の医療機関では待ち時間対策に力を入れるなど、多忙な方でも受診しやすい環境が整えられています。
また、「健康だから受診しない」「必要なときに医療機関を受診する」の回答から、がんについて正しい知識が定着してない可能性があります。
多くの場合、初期のがんは自覚症状がありません。気付かないうちに、がんが進行しているケースも少なくないため、健康状態に問題がなくとも、がん検診の受診は大切です。
そして、費用に関しては、自治体の補助制度を知らない方が多いことが予想されます。
お住まいの市区町村が実施しているがん検診は、無料または少ない自己負担額で受診が可能です。対象者の方は、自治体のがん検診を活用しましょう。
定期的にがん検診を受ける3つのメリット
定期的にがん検診を受診すれば、がんが重症化する前に見つけることが可能です。
がんの早期発見・早期治療は、身体的な負担が少ない治療の選択や治療費の軽減だけでなく、日常生活に支障なく治療期間を終えられます。
ここで、がん検診を受診する3つのメリットを紹介します。
がんの早期発見・治療につながる
がん検診の一番のメリットは、がんの早期発見・早期治療につながることです。
がんによる死亡を防ぐのはもちろん、がんを早期に発見し、適切な治療を行えば完治の可能性が高くなります。
また、治療に対する身体の負担や費用の負担をおさえることも可能です。
がんが重症化すると、治療の選択肢が狭まるだけでなく、長期間治療に向き合わなくてはなりません。
がんの前段階「前がん病変」を見つけやすい
がん検診では、がんになる前の段階の病変「前がん病変」が見つかるケースが多いです。
子宮頸部異型上皮や大腸ポリープなどの前がん病変は、がんの初期と同様、大半は自覚症状がありません。
がんに進行する前に治療を行えば、がんを防げます。また、病変が軽い場合は、経過を観察し、異変が起きた際すぐ対応できる環境を整えることにつながります。
安心感を得られる
2~3人に一人はがんになる現代、がんになった家族や友人、知り合いがいる方も少なくありません。
自身も、「がんになったらどうしよう」と不安になるときもあるでしょう。しかし、過度な不安は、心にも身体にもよくありません。
がん検診で異常がないことが判明すれば、不安から解放されて、安心した日々を過ごせます。
定期的にがん検診を受ける3つのデメリット
精度が高いがん検診にも、いくつかのデメリットが存在します。
がんの診断を誤ってしまう「偽陰性」「偽陽性」「過剰診断」の可能性は否定できません。
ここで、どのような懸念点があるのか、がん検診を受けるデメリットについてお伝えします。
費用と時間がかかる
国は、胃がん・大腸がん・肺がん・乳がん・子宮頸がんの検診を推奨しており、少ない自己負担額で受診できる補助制度を設けています。
しかし、それぞれの検診には対象年齢があり、対象外の方は補助を受けられません。検診費用がすべて実費となった場合、経済的負担が発生するでしょう。
また、検診の種類により事前の準備が必要なものや、受診後に処置が必要なものがあります。
医療機関の混雑状況によっては、所要時間が長くなる可能性があることも否定できません。
必ずがんを発見できるとは限らない
目まぐるしく医療は進歩していますが、どのような検査も100%がんを発見できるわけではありません。
がんが見つけにくい場所にある、見つけにくい種類のがんだった場合、がん検診でも見落とす恐れがあります。
しかし、がん検診を受け続けることで、がんを発見する確率は高まります。前回発見されなかったが、今回がんが見つかったというケースも少なくありません。
そのため、適切な間隔でがん検診を受けることが大切です。
心理的・身体的負担がかかる場合もある
胃がん検診でエックス線検査を受ける際、胃の内部をきちんと映し出すために造影剤のバリウムを服用します。
バリウムは、消化管につまる可能性や、虫垂炎を引き起こす恐れがあるため、検査後すべて排出しなくてはなりません。
そのため、下剤を飲む必要があります。下剤によりトイレの回数が増えて、日常生活に支障をきたす恐れがあります。
また、内視鏡による出血や穿孔、放射線による被ばくなどの身体的な負担が生じ、検査時に肌をさらす、身体を触られる心理的なストレスを抱える場合もあるでしょう。
忙しい日々を送る人にこそマイクロCTC検査がおすすめ
「仕事は休めないから、がん検診を受診できない」
「家事や育児に忙しく、がん検診を受ける時間がない」という方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
マイクロCTC検査は、1回5分で全身のがんリスクが把握できる先進的な検査です。
少量の採血で検査がおこなえるため、事前の準備や食事制限などの必要はありません。
ここからは、マイクロCTC検査の概要・特徴を紹介します。
1回5分の採血でがんリスクがわかる
マイクロCT検査は、1回5分の採血で全身のがんリスクがわかる検査です。
少量の採血のみで、血中に漏れ出した悪性度のがん細胞そのものを捉えて、個数まで検出し、全身のがんリスクを明確にします。
短時間で終了するため、通勤や通学、お買い物のついでなどに検査を受けることが可能です。
また、検査時の痛み・違和感、副作用、医療被ばくなど、体の負担も一切ありません。
従来のがん検診に比べて、スピーディーかつ気軽・安全に受けられる検査といえます。
特異度94.5%の高精度
マイクロCTC検査は、特異度94.45%と非常に高い精度を誇っています。※4
血中に漏れ出した悪性のがん細胞そのものを捉えるため、がん細胞が捕捉できない場合は、陰性判定となります。
一方、陽性の場合は、高確率で体内にがん細胞が存在するといえるでしょう。
従来のがん検診では、「偽陰性」「偽陽性」「過剰診断」が起こる可能性を否定できません。
がんの見落としのほか、必要のない検査や治療で身体的・精神的な負担が生じたケースも少なくありません。
また、マイクロCTC検査は国内に検査センターを設け、迅速な検査体制を整えることで、高品質・高精度の水準を維持しています。
正確性と信頼性、納得感を求める方には、マイクロCTC検査がおすすめです。
がんを早期発見できる可能性が高い
マイクロCTC検査は、従来の画像検査よりも高確率で早い段階のがんを見つけることができます。
CTやMRIなどの画像検査では、1cm未満のがん細胞は発見できません。発見可能なサイズは1cmからといわれています。
1cmに成長したがん細胞は、10億個もの細胞が含まれています。その後、加速度的に増殖し、半年~2年でステージ2・3にまで進行するケースも珍しくありません。
マイクロCTC検査は、画像検査では発見が難しい1cm未満のがん細胞を捉えて、個数を明示します。
早い段階で全身がんのリスクを把握すれば、適切な治療へとつながります。
がんの超早期発見には、マイクロCTC検査が有効です。
がん検診に関するよくある3つの質問
最後に、がん検診に関するよくある質問を紹介します。
- がん検診は何歳から受けたらよいですか?
- がん検診はどのくらいの頻度で受けたらよいですか?
- がん検診は保険適用になりますか?
- がん検診は何歳から受けたらよいですか?
-
自治体のがん検診には、対象年齢が設けられています。
子宮頸がんは20歳以上、乳がんは40歳以上の女性に推奨しています。そのほか、性別を問わず、大腸がん、肺がんは40歳以上の方、胃がんは50歳以上の方に推奨しています。
対象年齢は、厚生労働省が「がん予防重点健康教育およびがん検診実施のための指針」に基づいて定めており、それぞれのがんの発症リスクがピークを迎える前に受診するよう設定されています。
- どのくらいの頻度でがん検診を受けたらよいですか?
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がん検診の受診間隔は、検診の種類により異なります。
大腸がん、肺がんは1年に一回、胃がん、乳がん、子宮頸がんは2年に一回です。
がんの早期発見・早期治療のために、適切な受診間隔が設定されています。忘れずに間隔を守り、受診しましょう。
- がん検診に保険は適用されますか?
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基本的にがん検診には、保険は適用されません。
しかし、がんが疑われる症状があり、医師が検査が必要と判断した、がんの治療歴があり、再発が疑われるなど、治療を目的とする場合は保険が適用されます。
また、国が推奨する5つのがん検診(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸がん)においては、対象年齢であれば費用の負担が少ない自治体のがん検診が受けられます。
自治体のがん検診は、対象者、受診間隔、検査項目が定められており、対象外の方や受診の頻度を増やしたい方、オプション検査を追加したい方はすべて実費です。
まとめ
がんは、早期に発見すれば治療が可能な疾患です。
しかし、初期のがんは自覚症状がないため、自身で異変に気付きにくく、健康診断では発見が困難です。
がんの早期発見・早期治療には、がん検診を受診するほかありません。
「仕事が忙しい」「家事が大変」「プライベートを大切にしたい」と、がん検診の受診を後回しにすると、長期的な治療に向き合わなくてなりません。
また、治療の施しようがない状態にまで進行する場合もあります。少ない費用で受診可能な自治体のがん検診を取り入れながら、定期的に自身の身体と向き合いましょう。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。
〈参考サイト〉
※1:がん情報サービス「がん統計」
※2:厚生労働省「政策レポート(がん対策について)」
※3:知っておきたいがん検診「諸外国のがん検診データ」
※4:マイクロCTC検査「血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査」