「がん検診を受けたいけど、忙しくてなかなか行けない」
「簡単にがんのリスクがわかる検査方法を知りたい」
がん検診に対して、このような不安や疑問をかかえていないでしょうか。
マイクロCTC検査とは、たった5分の採血でがんリスクを評価できる検査です。非常に簡便な検査にもかかわらず、がん治療後の経過観察や、がん再発の早期発見にも役立ちます。
本記事では、マイクロCTC検査の特徴や、検査方法、既存のがん検査との違いについてもあわせて紹介します。
従来のがん検査の問題点
ここでは、従来のがん検査の問題点である、「がん検査の受診率の低さ」と「がん検査による医療被ばく」について紹介します。
がん検査の受診率
日本人の2人に1人が一生のうちにがんと診断されているにもかかわらず、がん検診の受診率の低さが問題視されています。
がん検診を受ける方が少ない一番の原因は、「受ける時間がないから」です。実際に、全身のがんを検査するためには丸一日以上かかることが多く、毎年しっかりがん検査をしている方はごくわずかです。
がん検査による医療被ばく
がん検診では放射線を使用する検査方法が多いため、医療被ばくのリスクの高さが問題視されています。
環境省によれば、人が受けられる放射線量の限度は、一般人(放射線技術者ではない方)で年間1ミリシーベルトとされています。
実際に、がん検診で用いられる検査のひとつである「PET-CT検査」の被ばく線量は1回で10〜25ミリシーベルトであり、一般人の限度をはるかに超える被ばく量です。
注目のマイクロCTC検査とは?
詳細情報
マイクロCTC検査 | |
---|---|
検査費用 | 198,000円 |
検査方法 | 採血 |
検査でわかること | 全身のがんリスク※1 |
捕捉対象のがん細胞 | 間葉系がん細胞 (高悪性度) |
マイクロCTC検査とは、浸潤や転移の恐れがある悪性度の高いがん細胞を見つけ、その個数まで明確に示せる検査です。
ここでは、マイクロCTC検査の特徴や、検査の精度について紹介します。
- 採血で全身のがんリスクがわかる
- 上皮間葉転換したがん細胞を捕捉
- 特異度は94.45%
順に解説していきます。
採血で全身のがんリスクがわかる
マイクロCTC検査では、1回の血液検査で全身のがんリスクを評価できます。
一般的に、全身のがんリスク検査には長時間の拘束を要します。しかし、マイクロCTC検査なら、1回の採血のみで血液がん以外のがんリスクを高い精度で判定可能です。
上皮間葉転換したがん細胞を捕捉
がん細胞は上皮間葉転換と呼ばれる変化によって、悪性度が低い「上皮性のがん細胞」から、悪性度が高い「間葉系のがん細胞」への進行が知られています。
マイクロCTC検査の大きな特徴は、上皮間葉転換した、悪性度の高いがん細胞のみを特定して見つけられることです。
特異度は94.45%
マイクロCTC検査の特異度は94.45%であり、がん細胞を高精度で検出できます。
特異度とは、がんでない方に対してきちんと陰性の判定が出る割合のことをいい、数値が高いほど検査結果が正確であることを表しています。
マイクロCTC検査のメリット
ここでは、マイクロCTC検査のメリットについて3つ紹介します。
- 検査費用が他の検査に比べ安価
- 検査が簡易的
- 確定診断前の判断材料になる
検査費用が他の検査に比べ安価
全身のがん検査を実施する場合、がん検査のひとつであるPET-CT検査や全身MRI検査では、合計で20~30万円弱ほどの費用がかかります。
その一方で、マイクロCTC検査は198,000円(税込)と、全身のがんを調べられる検査のなかでは比較的安価です。
検査が簡易的
全身のがん検診をする場合は、一般的に丸一日以上の時間を要しますが、マイクロCTC検査ではたった1回の採血のみで簡単に検査できます。
そのため、仕事や子育てなどでなかなか時間がとれない方や、全身のがん検査をしたくても時間がなくて部分的な検査で済ませていた方などにおすすめです。
確定診断前の判断材料になる
がんの確定診断をするためには、生検で組織を取り出し、病理診断が必要です。しかし、肺や内臓など部位によっては生検ができない場合もあります。
そのような状況でも、マイクロCTC検査の利用によって、疑いのあるがんが良性か悪性なのかを判断する大きな材料となります。
他のがん検査とマイクロCTC検査の違い
ここでは、従来のがん検査と、マイクロCTC検査との違いを紹介します。
- PET検査
- CT検査
- MRI検査
PET検査
PET検査(Positron Emission Tomography)は、放射性薬剤を使って細胞の活動状況を画像で確認できる検査で、がんの位置や大きさの特定に有用です。PET検査は一部のがんの早期発見に役立ちますが、全身をくまなく検査できるわけではありません。
また、がんの大きさが1cm未満の場合は発見が難しく、PET検査で発見された段階ではすでに進行がんになっているケースも少なくありません。加えて、PET検査の前には5~6時間の絶食が必要です。検査には放射性薬剤を用いるので、医療被ばくの危険性もあります。
一方で、マイクロCTC検査は一度の採血のみで検査が完了し、血液がん以外のすべてのがんリスクを判定できます。また、マイクロCTC検査なら、1センチに満たないような初期のがん細胞でも見つけられます。マイクロCTC検査の採血前の絶食は不要で、医療被ばくの心配もありません。
CT検査
CT検査(Computed Tomography)とは、X線を用いた画像診断技術の一種です。人体の内部を断層画像(輪切りにしたような画像)にし、病変部分の細かい位置や大きさの調査が可能です。
CT検査はPET検査と同様、がんが1cm以上にならなければ発見が難しく、とくに硬い骨の下にある病変は見つけにくいという欠点があります。また、PET検査と同様に、医療被ばくが問題視されています。
一方で、マイクロCTC検査なら、1センチに満たないがん細胞でも発見でき、血液がん以外のすべてのがんに対応可能です。検査方法は採血のみのため、医療被ばくの心配もありません。
MRI検査
MRI検査(Magnetic Resonance Imaging)とは、人体に高周波の電波をあてることで、からだ内部の断面を画像化する検査です。MRI検査ではX線を使用しないため、放射線被ばくのリスクがなく、比較的安全性が高いとされています。
MRI検査は水分の多い組織である脳や血管、筋肉などの検査に向いており、CT検査では正常な組織との区別がつきにくい臓器に生じるがんの診断に役立ちます。
しかし、採血のみのマイクロCTC検査とは異なり、狭い装置のなかで検査するため閉所恐怖症の方の検査が難しかったり、磁場の影響でめまいや吐き気、頭痛を訴えたりする方もいます。
がんの簡易検査との違い
これまで紹介した検査は、いずれも国内の医療機関で一般的に実施されている検査です。一方で、近年は遺伝子検査キットや線虫検査など、がんのリスクを判定するための簡易検査が登場しています。
- 遺伝子検査キット
- 線虫検査
ここでは、がんの簡易検査とマイクロCTC検査との違いを紹介します。
遺伝子検査キット
近年、がんのリスクを判定する遺伝子検査キットが市販されるようになりました。遺伝子検査キットでは、自宅で簡単に自身の遺伝子情報を解析し、健康状態や疾患リスク、遺伝子的傾向などがわかります。
遺伝子検査キットは、自宅に取り寄せて検体を採取して郵送するため、クリニックに行かなくても検査を受けられるメリットがあります。ただし、遺伝子検査キットによる検査は、あくまで遺伝的な傾向を知ることを目的としているため、医師による検査結果と同じ程度に正確であるとは限りません。
マイクロCTC検査は医療機関に行って採血を受ける必要がありますが、がん細胞そのものを直接捕捉できるため、検査結果に対して大きな納得感を得られるメリットがあります。
線虫検査
線虫検査とは、研究用に用いられる小型の線虫を用いた検査方法のことです。嗅覚に優れた線虫が、がんの匂いに反応する習性を応用し、がんの有無を調べます。
検体である尿を自宅で採取し、郵送するのみで検査できます。ただし、「がんの人は尿からこういう匂いがする人が多い」と、間接的な指標を元にリスク指数を表示しているので、結果の納得感や信頼感に大きな課題が残ります。
その点、マイクロCTC検査はがん細胞そのものを直接捕捉できるため、検査結果に対する大きな納得感を得られます。
マイクロCTC検査のやり方
マイクロCTC検査は1回の採血のみで終わるため、検査の所要時間は5分程度です。検査の数日前から食事制限をしたり、検査前に薬剤を飲んだりする必要もありません。
採血の針を刺す以外に身体的な苦痛は伴わず、非常に短時間で検査できるため、ほかのがん検査と比較して非常に受けやすい検査といえるでしょう。
マイクロCTC検査に関するよくある質問
ここでは、マイクロCTC検査に関するよくある質問について回答します。
- マイクロCTC検査にかかる費用はどれくらい?
- マイクロCTC検査は本当に安全ですか?
- 日本以外でも実施されていますか?
マイクロCTC検査にかかる費用はどれくらい?
マイクロCTC検査は198,000円(税込)で受けられます。従来のがん検査で全身のがんを調べる場合は、一般的に20~30万円弱ほどの費用がかかるので、マイクロCTC検査は比較的安価といえるでしょう。
マイクロCTC検査は本当に安全ですか?
マイクロCTC検査は、従来のがん検査の方法と比較して安全に検査できます。マイクロCTC検査に必要なのは1回、5分の採血のみです。
そのため、X線や放射性薬剤などによる医療被ばくの心配もなく、安全で手軽かつ明確に全身のがんリスクを判定できます。
日本以外でも実施されていますか?
マイクロCTC検査は日本以外でも実施されており、欧米のがんの研究現場ではすでにあたり前に先端研究ツールとして使われています。
日本国内での認知度はまだない状況ですが、欧米ではすでに29000件もの関連論文が発表されており、アメリカの厚生労働省にあたるFDAからも承認を受けています。
まとめ
マイクロCTC検査とは、浸潤や転移の恐れがある悪性度の高いがん細胞を見つけ、その個数まで明確に示せる検査です。
従来のがん検査で全身のがんを調べると丸一日以上かかり、検査費用も非常に高額になります。一方で、マイクロCTC検査は1回5分程度の採血で済み、血液がんを除く全身のがん検査が比較的安価に受けられます。
マイクロCTC検査は、従来のがん検診に比べて手軽で簡易的な検査であるため、今後ますます注目を集めることが予想されます。
<参考>
がん情報サービス