「がん家系」という言葉を見聞きした方も多いのではないでしょうか。
家族や血縁者にがんを患った方がいる場合、自身もがんになるのではと不安に感じることがあるでしょう。
がんは、日本人の死因第1位であり、年間36万人以上の国民ががんで死亡しています。※1
近年では、20代・30代の子宮頸がん患者が増加傾向にあります。この世代は、妊娠・出産のピークでもあり、非常に深刻な問題です。
本記事では、子宮頸がんの概要と遺伝との関係性、子宮頸がんの検査方法などを詳しく解説します。
子宮頸がんに対する正しい知識を得たい方は、ぜひ参考にしてみてください。
子宮頸がんとは
子宮頸がんとは、子宮頸部とよばれる子宮の入口部分にできるがんです。
早期に発見すれば比較的治療しやすく、がんと診断されてから5年後に生存している割合が約93.3%と、非常に高い点が特徴です。※2
ここでは、子宮頸がんの主な症状や、子宮体がんとの違いなどを紹介します。
子宮頸がんは子宮の入り口部分にあたる細胞ががん化
子宮頸がんは、子宮の入り口部分にあたる頸部に発症するがんです。
子宮頸部の細胞が何らかの影響を受けて変異し、がんの前段階である異形成を経てがん化します。
たとえ、がん化してしまったとしても、初期の段階であれば完治や、子宮の温存が望めます。
とくに将来、妊娠・出産を考えている方は、早期発見・早期治療が大切です。
子宮頸がんの症状
子宮頸がんの初期段階は、自覚症状がありません。
多くの場合、医療機関を受診するきっかけとなる症状がないことから、気が付かないうちに進行しているケースも少なくありません。
子宮頸がんが進行すると、まず子宮の表面から深部へ浸潤します。次に子宮の筋肉や膣の組織に浸潤し、骨盤内のリンパ筋にがんが転移します。
がんの進行にともない、不正出血やおりものの異常、腹痛などの症状があらわれ、がんが膀胱や直腸、肺、肝臓、骨などに転移した際は、体の至る所でさまざまな症状があらわれます。
子宮頸がんの診断
子宮頸がんの診断には、頸部細胞診、コルポスコピー・組織診、内診、画像検査の総合的な判断が必要です。
一般的に、まずは頸部細胞診で細胞の状態を調べ、細胞に異常が見つかった場合は、子宮頸部を詳しく観察するコルポスコピーと組織診をおこない、確定診断につなげます。
万が一、がんと判定された場合は、がんの大きさや浸潤の程度、広がりなどを詳しく調べる内診、画像検査をおこない、治療方針が決定します。
子宮頸がんと子宮体がんのちがい
子宮がんには、子宮頸がんと子宮体がんがあります。それぞれどのような疾患か、解説します。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染により、子宮の入り口である頸部に発症します。
初期の自覚症状はありません。がんが進行すると、不正出血、おりものの異変などがあらわれます。20代・30代・40代が発症しやすい傾向です。
子宮頸がんの進行には、がんになる前段階である前がん病変から数年~10年ほどの長い時間がかかります。そのため、早期に治療を行えば、がんになる前の段階での完治が可能です。
子宮体がんは、子宮の奥(体部)に発症します。女性ホルモンの一つである卵胞ホルモン「エストロゲン」が、発症に深く関係しているといわれています。
子宮内膜の発育を促す卵胞ホルモンが過剰に増えると、子宮内膜増殖症を経て子宮体がんに進行します。出産経験のない方、肥満の方、月経不順の方、ホルモン療法を受けている方は注意しましょう。
そのほか、がん関連遺伝子の異常により発症する恐れがあるため、家族に乳がんや大腸がんにかかった人がいる場合は発症リスクが高まります。
子宮体がんは、比較的高齢者に多くみられるがんですが、高血圧症、糖尿病の方も注意が必要です。
子宮頸がんの原因
ここからは、子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染について、また、20代・30代の患者数が増えている理由について紹介します。
子宮頸がんの原因を正しく理解すれば、定期的な検診の重要性がみえてきます。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染
子宮頸がんの原因は、ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染です。
HPVウイルスは、ごくありふれたウイルスであり、性経験のある女性の50%以上が、生涯に一度は感染するといわれています。※3
とくに、子宮頸がんの発症は、ハイリスク型とよばれる13の型(16、18、31、33、35、39、45、51、52、56、58、59、68型)と深く関係しています。
しかし、感染したからといって必ずしも子宮頸がんを発症するわけではありません。
多くの場合、HPVウイルスに感染しても免疫の力により自然にウイルスは排除されますが、一部の方はウイルスが排除されず、長期間感染が持続する場合があります。
感染が続くと異形成とよばれる子宮頸がんの前がん病変を経て、子宮頸がんへと進行します。
20-30代が急増
子宮頸がんは、20代後半から急増し、30代後半にピークがはじまります。※4
20~30代の女性が発症するすべてのがんの中で、最もかかりやすいがんです。
20代、30代の患者数が増えている理由は、セクシャルデビューの若年化や、喫煙、生活習慣の乱れなどが考えられます。
また、国は20歳以上の女性に子宮頸がん検診の受診を推奨していますが、20代・30代の受診率が低く、患者数の急増に影響していると言わざるを得ません。年齢階級別がん検診受診率の推移は次のとおりです。
年齢階級 | 子宮頸がん受診率 |
---|---|
20~24歳 | 13.1% |
25~29歳 | 32.1% |
30~34歳 | 44.5% |
35~39歳 | 47.7% |
子宮頸がんは、「マザーキラー」とよばれており、子宮頸がんの罹患率のピークを迎える年代と、出産年齢のピークが重なります。※5
将来、妊娠・出産を望む方にとって、大変深刻な問題といえるでしょう。
健診は2年に1度をおすすめ
がん検診の受診頻度は、がんの特性を考慮して定められており、子宮頸がん検診は2年に一度の受診を推奨しています。
子宮頸がんは、前がん病変の状態から進行がんになるまで、2~3年かかるといわれており、非常にゆっくりとしたスピードで進行します。
そのため、2年に一度の検診でも十分有効です。
子宮頸がんの遺伝について
がんの原因には、大きくわけて環境要因と遺伝要因がありますが、子宮頸がんは環境要因のがんです。
ここでは、子宮頸がんと遺伝の関係性をお伝えします。家族や血縁者が子宮頸がんになり、自身もがんになる可能性があると心配している方は、ぜひ参考にしてみてください。
どのような人が罹患する?
子宮頸がんは、性交経験がある女性ならば誰でも発症する可能性があり、約76人に1人は子宮頸がんと診断されています。※6
子宮頸がんの発症原因は、性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染の長期化です。
そのため、セクシャルデビューが早い、セックスパートナーが複数人いる方は、子宮頸がんのリスクが高いといえます。
また、経口避妊薬(ピル)を長期間服用している方も注意が必要です。
HPVの約90%は、免疫の力で自然に排除されますが、ピルの長期服用により、HPVの排除率が低下し、感染が持続する割合が多くなります。※7
そのほか、発がん性物質を含み、遺伝子の損傷を引き起こすタバコを吸う方や、免疫力が低下している方も、子宮頸がんのリスクが高まるといわれています。
子宮頸がんは遺伝とは関係ない
子宮頸がんは、遺伝とは関係ありません。
がんの原因には、年齢や生活習慣、ウイルス感染などの環境要因と、生まれたときから持っている遺伝子の変化の遺伝要因があります。
子宮頸がんの場合、発症原因は環境要因の一つであるウイルス感染です。性交渉によるヒトパピローマウイルス(HPV)感染が長期化し、がんへと進行します。
そのため、子宮頸がんは遺伝子の変化で発症するわけではありません。
家族や血縁者が子宮頸がんになったとしても、自身の発症リスクには影響は与えません。
おもに、下記のがんが遺伝性のがんといわれています。
- 乳がん
- 卵巣がん
- 前立腺がん
- 膵臓がん
- 大腸がん
- 子宮体がん
- 胃がん・十二指腸がん
これらは、特定の遺伝子に異変があり、遺伝要因が認められています。
環境要因・遺伝要因に関わらず、定期的ながん検診の受診とともに、次の科学的根拠に基づく予防法の実践を心がけましょう。
禁煙 | たばこを吸わない。受動喫煙を避ける。 |
飲酒 | 摂取量に気をつける。 |
食事 | 偏らずバランスのよい食事を摂る。食塩や塩蔵食品は最小限に抑える。野菜や果物を積極的に食べる。飲食物を熱い状態でとらない。 |
身体活動 | 日常生活に運動を取り入れる。 |
体型 | 適正な体重を維持する。 |
感染 | 予防接種を受ける。 |
子宮頸がんの母親のがんが子どもに移行
国立がん研究センターを中心とした研究チームは、母親の子宮頸がんが子どもに移行すると明らかにしました。
出産直後、赤ちゃんは泣くことで呼吸をしはじめます。その際、羊水を吸い込むことで子宮頸がんのがん細胞が赤ちゃんの肺に移行し、小児肺がんを発症すると考えられています。
妊娠中に子宮頸がんを発症した場合、自然分娩は望めません。早産が避けられない可能性や、妊娠を諦めざる得ない状況になります。
そのため、子宮頸がん検診は初期の妊婦検診の必須項目です。
子宮頸がんの検査方法
一般的な子宮頸がんの検査方法は、病院での細胞診検査です。
その後、検査結果に応じて下記のような精密検査をおこないます。
- ハイリスクHPV検査
- コルポスコープ検査
- CT検査・MRI検査・PET検査などの画像診断
しかし、近年では自宅で簡単に検査ができる子宮頸がん検査キットもあります。
ここからは、細胞診検査の内容と子宮頸がん検査キットについて紹介します。
病院での細胞診検査
国が推奨する子宮頸がん検診では、細胞診検査がおこなわれます。
検査方法は、まず子宮の入口部位にあたる頸部を専用器具(ヘラやブラシ)でこすり、細胞を採取します。
採取した細胞を顕微鏡で詳しく調べて、異常細胞の有無やがんの可能性を診断します。所要時間は5~10分程度です。
細胞診検査で異常が確認された場合は、確定診断につなげるために再検査や精密検査を受診する必要があります。
検査結果に応じて、ハイリスクHPV検査やコルポスコープ検査、CT検査、MRI検査、PET検査などの精密検査をおこないます。
子宮頸がん検査キットの利用
子宮頸がん検査キットとは、自宅で手軽に子宮頸がんのリスクを調べられる検査です。
自身で採取した子宮頸部の細胞を、指定機関に郵送すると検査結果が届きます。
しかし、使用にあたっていくつかの注意点があります。
- 生理中や出血時は検査不可
- 妊娠中、または妊娠の可能性がある方は検査不可
- 検査キットの使用は、1回限り
- 誤った場所の細胞を採取してしまった場合、正しい判定がされない可能性がある
子宮頸がん検査キットは手軽に検査できる点がメリットですが、子宮頸部の自己採取は簡単なことではありません。
精度の高い検査を求める場合は、医療機関の検査が好ましいでしょう。
医療機関を受診する時間がない方や、医師による検査に抵抗がある方は、採血のみで全身のがんリスクの検査が可能な、マイクロCTC検査をおすすめします。
マイクロCTC検査は、1回5分で終了する採血のみの検査です。視診・触診はありません。
スピーディーかつ気軽な子宮頸がん検査をお望みの方は、マイクロCTC検査をご検討ください。
マイクロCTC検査は全身のがんリスクを検査
マイクロCTC検査は、全身のがんリスクを明示する検査です。
血中に漏れ出したがん細胞そのものを捉えて、その個数までも明示します。
従来では、内視鏡検査やエコー検査、CT検査など、がんが疑われる特定の部位のみを検査する方法が主流でした。
しかし、マイクロCTC検査では、血液に漏れ出したがん細胞を直接捉えるため、全身のがんリスクの調査が可能です。
ここからは、マイクロCTC検査の特徴を詳しく紹介します。
マイクロCTC検査は「間葉系がん細胞」を捉える
マイクロCTC検査は、血中に漏れ出した「間葉系がん細胞」のみを捉える検査です。
がんは、細胞の増え方や広がりの違いにより、悪性と悪性ではないものに分類されます。
悪性である間葉系がん細胞は、高い運動能力をもち、細胞を増殖しながら周囲の組織に浸潤し、リンパや血管などを通じて体のいたるところに転移します。
一方、悪性ではない「上皮性がん細胞」は、浸潤・転移はしません。手術で簡単に取り除けるでしょう。
しかし、上皮性がん細胞の一部は、上皮間葉転換(EMT)を経て間葉系がん細胞に形質変化する可能性があります。
マイクロCTC検査は、悪性ではない上皮性がん細胞は捕捉しません。上皮性がん細胞が上皮間葉転換し、悪性な間葉系がん細胞に変化したもののみを特定して捕捉します。
1回5分の採血で全身のがんリスクが検査できる
マイクロCTC検査は、1回5分で全身のがんリスクを検査できます。少量の血液を採取するのみで終了します。
仕事帰りやお買い物のついで、家事の合間などに気軽に検査が受けられるのも特徴の一つです。
また、薬剤を注射したり、検査薬を内服したりする必要がないほか、事前の食事制限もありません。医療被ばくの心配もないため、安心してがんリスクを調べられます。
マイクロCTC検査で検出された場合
マイクロCTC検査でCTC(血中循環がん細胞)が検出された場合、がんである可能性は高いです。
マイクロCTC検査の特徴は、がん細胞を直接捉えることです。従来のスクリーニング検査と異なり、細胞レベルでがんリスクを特定する先進的な検査方法です。
そのため、多くの場合、がんの見落としや偽陽性などの心配はありません。
また、陰性の場合、94.45%の確率で陰性判定になります。※8
ここからは、マイクロCTC検査の高精度な検出能力と正確性について紹介します。
がんの可能性が高い
マイクロCTC検査は、血中に漏れ出した浸潤・転移の可能性が高いがん細胞をを直接捉え、個数までも明示する検査です。
そのため、陽性の場合、高い確率で体内に悪性のがん細胞が存在する可能性があります。
一方、体内にがんがなければ、がん細胞の捕捉はできず、陰性と判定されます。その正確性は、特異度94.45%です。※9
マイクロCTC検査は、非常に高い精度と信頼性がある検査といえます。
従来の検査では、体内にがんがあるのに発見できず陰性と判定される「偽陰性」や、誤った判断で不必要な検査・治療を受けることになる「偽陽性」が起こる可能性があります。
マイクロCTC検査の強みは、がん細胞そのものを直接捉える点です。
高い精度と信頼性のある先進的な検査が、1回5分で受けられます。
画像診断が可能なサイズは約1cm
画像診断(CT検査、MRI検査、PET検査)は、がんの発見に有効ですが、がんが1cmの大きさになり、はじめて見つかります。
万が一、体内にがんがあっても、1cm未満であれば「がんの疑いなし」と診断されてしまう可能性が高いです。
1cmのがんは、がん細胞の数が10億個に達すると考えられています。また、がんはステージ1期からステージ2期、ステージ3期へ加速度的に進行します。
そのため、がんを早期のうちに発見できる期間は、1~2年といわれています。※10
マイクロCTC検査は、がんが1cmに成長する前の段階からがんを発見できる点が強みです。
画像診断より早い段階で、体内に潜む浸潤・転移の高い能力をもつがん細胞を捕捉します。
まとめ
子宮頸がんは遺伝とは関係ないものの、性交経験がある女性であれば誰でもかかる疾患です。
国立がん研究センター「がん統計」によると、毎年1万人以上が子宮頸がんの診断を受け、約3,000人以上の方が死亡しています。※11
とくに、子宮頸がんの患者数が増加傾向にある20代・30代は、出産ピークと時期が重なるため無視できない問題です。
仕事やプライベートに忙しい方、医療機関の受診が恥ずかしい方は、1回5分で全身のがんリスクがわかるマイクロCTC検査をご検討ください。
マイクロCTC検査は、触診や視診は一切なく、採血のみの検査です。検査着に着替えたり、診察台にあがったりする必要はありません。
自宅で簡単に子宮頸がん検査ができる検査キットに比べて、非常に精度が高く、超早期の段階でがんの発見が可能です。
がんは治らない時代ではありません。しかし、そのためには早期発見・早期治療が重要です。
自覚症状がないからこそ、定期的に検査を受けて自身の健康状態を把握しましょう。
※本記事の情報は2023年10月時点のものです。
※本記事は公開・修正時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。キャンペーンを含む最新情報は各サービスの公式サイトよりご確認ください。
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〈参考サイト〉
※1:がん情報サービス「がん統計」
※2:がん情報サービス「院内がん登録生存率集計結果閲覧システム」
※3:厚生労働省「ヒトパピローマウイルス感染症とは」厚生労働省
※4、※11:がん情報サービス「子宮頸部 統計」
※5:厚生労働省「母の年齢(5歳階級)・ 出生順位別にみた出生数」
※6:日本医師会「知っておきたいがん検診」
※7:医療法人社団 予防会「低用量ピルの効能と副作用について知っておこう。」
※8、※9:マイクロCTC検査「血中のがん細胞を捕捉するがんリスク検査」
※10:がん対策推進企業アクション「早期がんを発見できる時間|がん検診のススメ」